11代目となる新型『カローラ』の全長は5cm短くなった。これは日本での使い勝手を向上させるのが目的である。
間もなく4000万台を生産するカローラは、グローバルで台数を伸ばしてきた側面があると述べるのはトヨタ自動車製品企画本部ZE主査の中村寛さん。海外を含めて体形の大きさから、室内の拡大、ひいてはボディサイズの大型化につながってきたという。
しかし、「日本の5ナンバーサイズで考えられた道では、だいぶ苦しくなってきたなと思います」と明かす。また、実際のユーザーも、「これ以上大きくしなくていいという声も大きいです。特にセダンのユーザーは平均で64~65歳ほどですから」
更にダウンサイジングにも着目する。「『クラウン』から軽などへの流れがあります。そういうユーザーに話を聞くと、(値段はもちろんだが)大きいクルマは駐車場などで面倒なので、使いやすい、取り回しのしやすい方がいい」と話す。そこで中村さんは、「使いやすいクルマにしなければいけないという思いでやりました。これはクルマの基本性能の一部です」とし、若いユーザーにも共通するポイントだとした。
このサイズダウンは、「最初から決めていたわけではないのです」と笑う。「自らの意志でのダウンサイザーとは別の、従来からのカローラ代替えユーザーでは、クルマが小さくなったのは良いが、中が狭いなあとなっては、その商品の満足度として駄目だと思うのです」。そこで今回、「今までのMCプラットフォームからB(『ヴィッツ』や『ラクティス』『アクア』用)という、ワンランク下のものにしました。これにより、エンジンルームを小さく、クルマも軽量化できることがわかったので、全長は小さくしつつ、室内を広げることが可能となったのです」
5cmのサイズダウンはフロントオーバーハングを短くしたことによる。中村さんによると、技術的にはあと5cmは短く出来たという。それをしなかった理由は、「前の短いクルマは、後ろも短いハッチバックタイプなんですね。ハッチバック派生のセダンって格好悪いでしょう」。そこで、「デザインは、やはりクルマの大きな商品性ですから、そのまま50mmはデザインのために残して、新しさ、上質感と、使いやすさを両立させたのです」と語った。