【福祉機器展12】福祉車両を実際に試して比較できる貴重な機会…TMJ ウェルキャブ担当者

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スペイド サイドアクセス車 脱着シート(手動式)+専用車いす仕様
スペイド サイドアクセス車 脱着シート(手動式)+専用車いす仕様 全 15 枚 拡大写真

「第39回 国際福祉機器展H.C.R.2012」で、トヨタ自動車は新型『ポルテ』(助手席リフトアップシート車 Bタイプ)などのウェルキャブ(福祉車両)8台を出展。トヨタマーケティングジャパン(TMJ)でウェルキャブを担当する田浪優氏に、出展の狙いや福祉車両のニーズ傾向などを聞いた。

◆さまざまな福祉車両を一挙に比較できる絶好の機会

今回、トヨタ自動車は昨年比でブース面積を1.5倍に拡張、『ポルテ』『スペイド』の助手席リフトアップシート車や手動車いす用収納装置(電動式)車、『ラクティス』『ヴォクシー』の車いす仕様車(スロープタイプ)、『ハイエース』の車いす仕様車(リフトタイプ)、『アクア』のフレンドマチック取付用専用車(ウェルキャリー付)などを出展した。さらに医療・介護用のパートナーロボットを国際福祉機器展としては初めて出展し、福祉分野におけるトヨタの取り組みを紹介した。

田浪氏によれば、福祉機器展に訪れる来場者はおよそ二通りに大別できるという。すなわち「一方は介護施設などの法人ユーザー、そしてもう一方は障がいをお持ちの家族がいる個人ユーザー」(田浪氏)。また「さらに個人ユーザーは、家族に下肢に障がいがある方がおり車いすでの乗降が必要とされるタイプ、また車いすまでは必要ではないが、高齢者など足腰に不安を抱えており乗車にサポートが必要なタイプに分かれる」という。

したがって目当ての車両も用途によって異なっており、『ハイエース』では法人用途がほぼ全て、『ノア』『ヴォクシー』クラスでは個人と法人は半々、『ラクティス』や『ポルテ』だと個人ユーザーが大半だという。細かなニーズに応じて幅広い車種を展開しているトヨタのウェルキャブだが、実際にさまざまな車両を見比べられる機会はなかなかない。このような福祉機器展は、個人・法人を問わず、他メーカーを含む福祉車両を比較できるうってつけの機会であり、デモンストレーションを見る来場者たちの目も非常に熱心だ。

◆普段使いも十分こなせる柔軟性

「発売以来、個人ユーザーに対して高い人気」(田浪氏)を保っているというウェルキャブが、ラクティスだ。車いす仕様車(タイプI)は、扱いやすいコンパクトボディに加えてハイルーフ仕様で、車いすの乗降時には車高を下げることができるエアサスなどの専用装備を備える。さらに、前方にタンブル可能な収納式の後部座席を採用し、車いすを載せているときでも隣に介助者が乗ることができる。もちろん車いすを載せないときはシートを起こして通常の5人乗りとして利用できるフレキシビリティが特長だ。ブースでは実際に車いすを載せる実演もおこない、その利便性を訴求した。

このほか、7月に発売された新型『ポルテ』の「助手席リフトアップシート車 Bタイプ」、ポルテの姉妹車でもある新型車『スペイド』の「サイドアクセス車 脱着シート(手動式)+専用車いす仕様」を出展するなど、「プチバン」として人気が高まりつつあるコンパクトミニバンのウェルキャブもデモなどで紹介していた。

◆福祉車両を選択肢の1つに

さらに、アクアには、ルーフ上に車いすを収納できる「ウェルキャリー」を取り付けた「フレンドマチック取付用専用車 タイプIV」を展示。「こうした機構は、改造メーカーによる商品はあるが、自動車メーカーがつくっているのはトヨタだけ。自分でドライビングしたいという方向けの商品で、アクアをはじめ、ラクティス、プリウス、カローラフィールダーに設定している」と田浪氏。

こうしたイベントに来場する人たちは、開催される地域によって違いが出るとも田浪氏は話す。「東京は、福祉施設・自治体などの調達関係者や、学生などが多いが、名古屋や大阪になると土日にはリアルユーザーが増える」(田浪氏)。また、福岡や仙台といった地方都市でも二世帯で同居する家族を中心にウェルキャブに対する注目が高まっているという。

このほか、実際に医療機関や介護施設などにおいて実証実験がおこなわれている医療・介護用パートナーロボットを出展したほか、国際福祉機器展の特別企画「福祉機器開発最前線」では、「生活支援ロボット(HSR:human support robot)」が、床に落ちた物を拾ってベッドに横たわる人へ渡すデモなどを披露した。

今回の国際福祉機器展では、三菱とマツダを除く自動車メーカーがブースを連ね、福祉車両のバリエーションや機能性を訴えた。今後は、高齢者のいる家庭などに対して、助成や減免税などの購入補助といった費用的な負担の少なさや、標準車と変わらない使い勝手を浸透させていくという“潜在ニーズの掘り起こし”段階へと移行しつつある。次の愛車選びの際に、福祉車両があたりまえのように候補の1つとしてリストアップされる日はそう遠くないだろう。

《レスポンス編集部》

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