三菱自動車から発売された、新型『アウトランダー』のインテリアは、先代の反省を踏まえ、大幅に質感の向上が図られている。
「先代のインパネは分割ラインが多く、これは反省点でした」と述べるのは、同社デザイン本部デザイン部エキスパート(デザイン担当)の金澤秀晃さん。「アウトレットのガーニッシュなど線が沢山あり、それが天気の良い日にはガラスの内側に写り込んでしまったのです」。また、「分割が多いということは、部品点数が多くなり、チリ合わせや、段差や色合わせ、艶など、質感には不利でハードルが高いデザインでした」という。
そこで今回は、「少なくとも日があたる上面部分は出来るだけシームレスにすっきりとさせ、運転中に視覚的なノイズになるようなものを減らしました。また、どうしても分割が発生してしまう場合は目線から隠すという配慮をしました。それが、運転に集中できるドライビングの環境、安全性や質感の向上につながると思うのです」とした。
また、インテリアのスケッチも(エクステリアと同様)様々な方向性が探られた。金澤さんは、「(個人的にも)質感と先進性は裏腹。先進性をどんどん尖がらせたり、奇抜な形にすると、非常に意欲的で先進的なデザインにはなりますが、安心して見ることが出来るクオリティは出しにくく、ややもするとおもちゃっぽくなってしまいます」。一方、「保守的にすると、新しさという点では少し物足りないかもしれませんが、手堅い質感のクオリティは出しやすいのです」という。
金澤さんは、あくまでも手堅いクオリティを出していきたいとする。その理由は、「本格RVが売りにくくなる状況で、このクルマがある市場で三菱のトップのSUVになった際、上のクラスからダウンサイジングして来た方があまり抵抗なく乗ってもらうためのクオリティが必要です。また、下のクラスからアップグレードしてくる方からのちょっと憧れるようなクオリティを表現するうえでも、手堅い質感を優先したいという想いが強かったのです」と語った。