コンセプトも占有面積もまったく一新された新しい『Aクラス』。しかしメーカーとして“変えただけの責任”は果たしている、と思えた。
印象的なのは、まさしくプレミアムコンパクトだと実感できる説得力をもつ点。今年は新型『ゴルフ』始め競合車が続々登場予定で、熾烈な戦いは不可避だろうが、新型Aクラスの“上質感”は、かなりの戦闘力だろう。
とくにインテリアの質感の高さは納得モノだし、インパネを始めとしたデザイン、ディテールが加飾過多ではなくなり、センスがよく眺めていて落ち着け、実に居心地がいい。ワイパーを隠しフロントガラス下端をスッキリさせるなどの配慮も高級車発想だ。後席はサイズ、ポジションにやや割り切りを感じる。が、前席と共通のバケットシート風デザインで、退屈させない雰囲気にはなっている。
外観は写真で見るより実車のほうが精悍でクールだ。ボディサイドのキックしたキャラクターラインは好みが分かれそうだが、アンテナをルーフスポイラーに内蔵させるなど工夫されている。
まず試乗できたのは1.6リットルターボ(122ps/20.4kg-m)+7速DCT搭載のA180ブルーエフィシェンシーだったが、エンジン、ミッションともに、スムースさを実感させるセッティング。山道での身のこなしは、過敏過ぎずにクイックだ。乗り味は車高が15mm低く18インチタイヤの「スポーツ」も、基本的にフラット。走りを重視するなら、追って導入される「A250シュポルト」を待ちたい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年より『GOLD CARトップ・ニューカー速報』の取材/執筆を皮切りにフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。