気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2013年2月6日付
●中国艦射撃レーダー照射、先月30日東シナ海、海自艦に(読売・1面)
●白川総裁来月19日辞任、日銀、任期切れ前(読売・1面)
●トヨタ営業益1兆1500億円、3月期予想、上方修正、円安、輪出が改善(読売・2面)
●韓国輸入車が急増(読売・9面)
●デフレ脱却へ賃上げ不可欠、首相、賃上げ求める(産経・10面)
●自動車労連元会長、塩路一郎氏死去(産経・23面)
●車・精密に円安効果、トヨタ、1100億円上方修正 今期利益(日経・1面)
●三菱自,営業益横ばい、今期下方修正、リコール費拡大(日経・13面)
ひとくちコメント
この人がどんな人物だったのか、いまの日産自動車の若い社員に聞いても知らない人も多いだろう。自動車総連元会長の塩路一郎氏が2月1日、食道がんのため死去したと、きょうの産経が報じている。86歳だった。葬儀・告別式は近親者で済ませたという。
塩路氏といえば、1953年日産自動車に入社後、労働組合運動に転じ、日産系の自動車労連(現日産労連)や自動車メーカーの労組でつくる自動車総連の会長に長い間君臨した。
70年代後半からの日産は「三頭政治」と呼ばれ、日本興業銀行出身の川又克二会長と蜜月関係を築きながら当時の石原俊社長と激しく対立し、人事や経営方針にもくちばしを挟み、混乱を招いた。日産での影響力の大きさから「塩路天皇」とも呼ばれ、石原社長は「任期中の大半は塩路氏との対決に時間を費やした」と語ったほどである。
また、塩路氏は「労働貴族」の異名も持ち、ヨットを所有し、毎晩のように銀座の高級バーで飲み歩いていた。取材のアポイントを入れると銀座のバーを指定したこともしばしばあった。
雑誌記者の頃、取材で忘れないのは、自動車労連の大会が開かれてた熱海市のリゾートホテルに“夜回り”をしたところ、宴会の途中でも浴衣姿で1時間以上も応じてくれたことだ。それから間もなくして女性スキャンダルの写真が週刊誌に報じられ、第一線から身を引いた。“過去の日産”を語るにはこの人の存在を無視することはできない。合掌。