気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2013年3月6日付
●米の車関税撤廃猶予、TPP事前協議、日本と合意へ(読売・2面)
●シャープにサムスン出資、100億円規模最終調整(朝日・1面)
●トヨタ、300万台割れ計画、15年国内生産、増枠考慮資減産へ(朝日・1面)
●NY株、史上最高値(毎日・1面)
●財界挙げての支援強調、説明役にトヨタ会長、IOC現地調査2日目(毎日・27面)
●低迷欧州、相次ぐ撤退、ダイハツ工業、ブリヂストン(産経・10面)
●交通網に超小型EV、仏でトヨタ実験(東京・7面)
●ルノー仏工場で生産、日産検討、経営再建後押し(日経・1面)
●ジュネーブ・ショー開幕、日欧、環境車で対決(日経・11面)
●東北に部品の協力団体、トヨタ東日本、200社と取引拡大へ(日経・11面)
ひとくちコメント
やっぱりそうなのか、と思わせるようなシナリオである。日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加への事前協議で、米国が日本車に課税している関税を当面の間維持し、簡単な手続きで米国車を輸入できる仕組みを拡大することで日米両政府が大筋合意したという。
読売、朝日、日経などは5日の夕刊でも報じたが、きょうも毎日が「TPP、自動車は『例外』」というタイトルで1面トップや経済面で大きく取り上げている。
それによると、関税撤廃までの猶予期間を5~10年超と「例外」的に長く設定。米側の最大関心事の自動車分野で譲歩する代わりに、日本が「聖域」とするコメなど重要農産品で関税撤廃の「例外」を認めてもらうシナリオのようだ。
また、スズキの鈴木修会長が「TPPとは関係ない」と発言した軽自動車の優遇税制見直しなどは今後の協議に委ねるが「焦点にはならない見通し」(日経)という。
では、政府の思惑通りに進むのかどうか。毎日は「不透明だ」と指摘。「国内農業も大事だが、米国の自動車関税がいつまでも撤廃されないなら、何のためのTPP参加か」(大手自動車メーカー幹部)。日本の譲歩に対し、日本の自動車業界は失望感を隠せない、などと伝えている。
自動車関税が長期間温存されれば、日本車の恩恵は薄くなる。日本自動車工業会の会長を務めるトヨタ自動車の豊田章男社長は新年のあいさつで「今年こそ、平穏無事で終わりたい」と抱負を述べていたが、輸出の台数によっては各社の思惑も入り乱れており、しかも、交渉相手はしたたかな米国だけに波乱含みの展開も予想される。