トヨタ、ビッグデータ交通情報サービスを開始「70万台のテレマティクスから得られる情報を還元する」(友山常務)

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トヨタ、ビッグデータ交通情報サービスを開始「70万台のテレマティクスから得られる情報を還元する」(友山常務)
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「2002年のG-BOOKから始まったテレマティクス搭載車は10年間に累計330万台となり、その中でも常時通信を行う通信モジュールDCM(Data Communication Module)を搭載する車両は70万台にのぼる。これらからアップデートされたプローブ情報は年間で地球83万周分という膨大なものです。これをいわゆるビッグデータとして社会に役立つよう提供していこうというのがTプローブ交通情報サービスです」

トヨタ自動車IT分野のキーパーソンである友山茂樹常務は、シェアトップであるメーカーだからこそデータの社会還元をしなければならないと感じたという。

トヨタが持つビッグデータは、東日本大震災の際にはホンダなど他のプローブ提供者とともに通行実績データとして提供され、災害に対する有効性が高く評価されたが、この特例を除いては外にだされることはなかった。しかし今回、このデータを広く社会で利用できるよう、まずは自治体・企業向けとして「ビッグデータ交通情報サービス」が提供されることになった。

「レクサス車やクラウンなどDCMを積んだプローブ車両からはケータイ電話を接続するタイプのテレマティクスと比べて約60倍のデータがアップロードされます。収集されたデータは、個人と紐付かないように地点をずらすなどの配慮がなされたうえで専用の地図上にリアルタイムで表記され、どの地域に、どれだけの交通量があるのか、どんな問題が起きているのかなどを把握できます」

車載器からは基本的には1分ごとに車両が記録され、それを15分毎に更新するという設定ができ、マイクロソフトのクラウドサービスであるAzure上でビッグデータ処理されている。よってもちろん過去の情報を見ることも可能だ。走行軌跡を残すことで通行実績(通れた道)マップの作成ができるほか、100m四方などエリアを限定してCO2排出量の計算もできる。

「例えばエリアを限定して一ヶ月間、プローブ情報の統計をとれば、その地域の交通実態が見えてくる。通れた道マップを作れば、よく渋滞をする場所や時間帯、事故が起こりやすい場所などをピンポイントで把握でき、自治体や企業は渋滞や事故回避の対策を取りやすくなる」

つまり企業が流通システムを設計している場合には、トヨタのプローブ交通情報を加味することで、より効率のよいルート検索の特定も可能となる。

「震災以降、特に今年に入ってから、関係諸機関を含めさまざまな企業や団体からビッグデータ活用の要請があり、対応を考えてきた。今の時代、情報はオープンにするべき。自治体や企業にトヨタのビッグデータをうまく使ってもらって、防災対策や交通・運送サービスなどに活かすことが、スマートモビリティ社会につながる」と友山常務は新サービスの普及に期待を込める。

《村尾純司@DAYS》

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