【インタビュー】「BMWのアイデンティティを再確認する時期」…BMW AG デザイナー 永島譲二氏

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BMW AG BMWエクステリア・クリエイティブ・ディレクターの永島譲二氏
BMW AG BMWエクステリア・クリエイティブ・ディレクターの永島譲二氏 全 13 枚 拡大写真

BMW『3シリーズGT』日本導入に際し、デザイナーの永島譲二氏が来日。BMWのデザインの現状や、3シリーズGTのデザインのポイントなどのインタビューを行った。

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◆クルマが好きでデザイナーになった

----:永島さんは、1980年にオペルに入社後、ルノーに移り、1988年から現在まで、BMWのデザイン部門に在籍されています。そもそもなぜデザイナーになろうと思ったのですか。

永島氏:幼稚園の頃からクルマが大好きで、クルマのエンジニアリングよりも、絵を描く方が好きでした。もちろんミニカーも集めていました。当時はどんなクルマも好きで、雑誌などを読むとそのまま丸暗記をしていたくらいです。街で走っているクルマは音で何が来たかがわかったくらいですよ。最も昔はいまほど車種がなかったのでわかったのかもしれませんね。いまも昔も、ジャンルに限らず、どんなクルマも好きです。

◆デザインスタジオの個性

----:以前働いていたオペルやルノー、現在のBMWとデザインスタジオそれぞれで個性が異なると思うのですが、実際に働いてみて、どのようにお感じになりましたか。

永島氏:BMWは割と僕の中ではオペルとルノーの中間的な感じです。オペルはGMという大きな組織の中の一員で、非常にオーガナイズされたしっかりした組織でした。GMは、誰かがこういったら絶対にそれに従わなければいけない絶対君主制のような形で、フォードやクライスラーに移籍すると、こんなに自由だったのかと皆驚くくらいなのです。その流れをオペルも汲んでいました。

ルノーは逆に全くオーガニゼーションがないに等しいような、まるでカオスのような感じでした。自由という意味では極端に自由。BMWはその中間よりはオペルに近い感じです。

----:なぜ、ルノーからBMWに移籍されたのでしょうか。

永島氏:ルノーでデザインをしていた時に、自分が持っているデザインのモチーフのようなものが多少高級車に向いているような気がしてきたのです。それと、パリに移り住んだらドイツの方が良い部分があるな、ドイツに帰ろうかなという気持ちもあったのです。

◆BMWのデザインについて

----:永島さんがBMWに移られてから、デザインディレクターが3人変わりました。特に近年ではクリス・バングルからエイドリアン・ファン・ホーイドンクに変わるとともに、デザイン全体も大きく変化してきていると感じられます。これはディレクターが変わったことによる影響が大きいのでしょうか。

永島氏:ディレクターが変わったからというよりも、会社全体の雰囲気が、いまはアイデンティティを再確認する時期にあると思うのです。ちょうどディレクターが変わったタイミングと、アイデンティティを再確認にしようという時期が重なったと考えた方が良いでしょう。

----:そのアイデンティティとはどういうものですか。

永島氏:一言でいえば、典型的なBMWらしさ。バングルの世代の前に、割と3シリーズ、5シリーズ、7シリーズのデザインは接近していた時代がありました。いわばこの時代のような感じです。もちろん元に戻るということではなく、ファミリーであるということをきちんと表現しようということです。それをベースにまた新たに、次どうしようかとことにもなりますので、いまは、原点に立ち返るというタイミングなのです。

◆5シリーズGTをスケールダウンしても3シリーズGTにはならない

----:3シリーズGTについて伺います。最初にデザインをするにあたって何を考えましたか。

永島氏:いかにこの難しいパッケージをスポーティに見せるかで、かなりチャレンジし甲斐がありました。具体的には、室内の広さを活かしながら、視覚的に軽く、長く、低く見せるかです。

----:3シリーズGTと5シリーズGTの関係について教えてください。5シリーズGTとの共通点と3シリーズGTの特化させたポイントは何でしょう。

永島氏:先ほどのファミリーとして見せることにもつながりますが、GTファミリーとして、5シリーズGTを縮めたものが3シリーズGTという考え方はごく自然なものです。しかし、5シリーズGTをスケールダウンしてもこのプロポーションにはなりません。全体的に3シリーズGTの方がスポーティに仕上がっているのです。対して、5シリーズGTは、最大限のコンフォートを追い求めて、着座位置もさらに高くなるなど、少しコンセプトが違うクルマで、単なるスケールダウンよりは、性格的な違いがあるのです。

スポーティということは、おそらく一番の違いで、見た目の軽さを強調したことです。軽さ、長さを強調したことにより、スポーティにもつながっているのです。その点がデザイン的に違うところなのです。

----:3シリーズGTはシート位置がBMW X1に近いポジションということですが、そうは感じさせないエクステリアデザインになっています。具体的にはどのようなことをしているのでしょうか。

永島氏:クルマを低く見せる工夫とは、同じ車高であって、長く見えるクルマは低く見えるのです。長さはもちろん限られてくるので、いかにストレッチして見えるようにするか。それが同時に低く見せることにもつながるデザインのマジックです。サイドを走るジッカラインによってボディサイドの広い面積を平面に見せないようにすることなどが一例です。

◆カロッツェリアとの関係

----:BMWは毎年、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステにおいて、コンセプトカーを発表しています。一昨年までは自社デザインでしたが、昨年はザガート、今年はピニンファリーナでした。これはイタリアのカロッツェリアにデザインを依頼する傾向を示しているのでしょうか。

永島氏:昨年はZ4の改造版をザガートに依頼してつくったのに対し、今年のグランルッソは7シリーズのシャシーをベースにしていますが、ホイールベースは現行にない長さで、全く新たにつくったようなモデルで成り立ちが違うのです。
グランルッソのデザインは、ピニンファリーナからデザイン提案があり、ヴィラ・デステのために相応しいと判断し、現実化となりました。タイミングと提案内容がちょうど良かったということであって、何かを示唆しているわけではありません。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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