パオロ・ピニンファリーナ氏とCCC 増田社長が対談…共通のメモリアルカーはディーノ

自動車 ビジネス
ディーノ246GT
ディーノ246GT 全 5 枚 拡大写真

11月27日、代官山蔦屋書(東京都渋谷区)において、“デザインで文化を創る~世界を変えるための新しいスタイル、建築学的方法~”と題した、ピニンファリーナグループCEOのパオロ・ピニンファリーナ氏と、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役社長兼CEO の増田宗昭氏の対談が行われた。

今回は、クルマを軸に、デザインや文化などを語り合うもの。そこから2人に共通のクルマが浮かび上がった。それは、『ディーノ』だ。

パオロ氏の父、セルジオ・ピニンファリーナ氏が、初めて自らの責任の元に手掛けたモデルがディーノだった。そして、増田氏は、40年前にイタリアへ旅行に行ったときに、ディーノを見て目を奪われた。そしていつかは手に入れたいと思っていた。現在増田氏はディーノを手に入れている。

パオロ氏は、増田氏のエピソードを聞いた後、父との思い出を語った。「子供のころ、父は4シーターフェラーリに乗っていて、兄と私を色々なところへ連れて行ってくれた。前に父が座り、兄と私が後席に座っていた。10歳くらいの時、リビエラ海岸で遊んだあとの帰りに、父は“僕の銀の魚を紹介しよう”とディーノを見せてくれた。そして、助手席に私を乗せて二人で、トリノまで3時間ドライブした。父と二人のドライブだったことや、助手席に乗せてもらったことは(ディーノは2シーターのため後席はない)私にとって特別な体験だった」。

また、パオロ氏は「父が亡くなった時に、父にオマージュをささげるクルマを作ろうと考え、フェラーリが相応しいことまではすぐに決まった。そしてもうひとつ、重要なエレメントを考えたときに、母に父が最も好きだったディーノがいいがどうだろうと相談をし、了解を得ることができた。そこから生まれたのが『セルジオ』だ」と話す。

フェラーリとピニンファリーナとの長きにわたる協力関係について話が及ぶと、パオロ氏は、「1952年から連綿と続いている関係を考えると、フェラーリなしのピニンファリーナは考えられず、その逆もまた同じだ。フェラーリのイメージを作り上げてきたのは、ピニンファリーナが提言してきたモデルによるものが大きかったと思う。自分が社長になった時もこの関係が維持できるか心配はあった。しかし最近のモデルを見ていると、これまでフェラーリとピニンファリーナとで作り上げられてきたデザインレベルに達していると、周囲から認知されてきていると感じている。そして、父から昔言われていた、新しいフェラーリをデザインするときは、これが最初のフェラーリだと思ってデザインしろという言葉を思い起こしながら。いまもデザインしている」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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