【ハイエース開発主査に聞く】10年目、いまマイチェンする理由

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包原功主査
包原功主査 全 25 枚 拡大写真

トヨタ『ハイエース』が新しくなった。5ナンバーサイズぎりぎりのボディは、シルエットはそのままにダイナミックで力強いムードと洗練された印象を与えられて、新しい魅力を感じる。これまでのハイエースとは、どこがどう変わったのかという部分も知りたいが、マイナーチェンジが今となった理由が、まずは気になる。開発を担当した包原功主査に、このタイミングでマイナーチェンジとなった訳を訊ねてみた。

包原氏(以下敬称略):一言で言えば、今回のマイナーチェンジは時代に対応するためのものです。現行モデルは2004年に登場して、もう10年目を迎えています。そのため、時代の進化に対応出来ていない部分が出てきました。例えばスマートエントリーです。これは乗用車のための快適装備と思われがちですが、実は一日に何回も乗り降りする商用車だからこそ、必要な装備だとも言えるのです。

時代に即すため、何を盛り込むか

スマートエントリーを導入するにはインパネを作り直す必要がある。したがって今回のマイナーチェンジで採用できることになった、という。スタイリング、インパネなど見た目にはビッグマイナーと言ってもいいほどの変貌ぶりだが、荷室の形状や寸法、シートの位置など使い勝手に関わる部分にも手が入れられたのだろうか。

包原:現行ハイエースは、パッケージング面は突き詰められているクルマですから、これ以上の室内空間はないと思っています。だから荷室部分でいじるところはありません。そうなると、課題は「何を盛り込むか」ということになる。より快適に、より楽に乗り回せるようなクルマにするための改良を目指しました。ハイエースを運転している人が、仕事を終えても元気に日々を楽しめるように。そんな姿をイメージして細部の仕様を煮詰めていきました。

現行モデルの売れ方は“モンスター級”

普通の乗用車とは違う使われ方をされることが多いハイエースだが実用性はもちろん、快適性も年々高いレベルが要求されてきていると言う。200系ハイエースも10年が経過して、初期の頃とはユーザーが求める快適性に変化が生じているのだろう。ところが、詳しく話を聞いていくと事情はやや異なるようだ。

包原:実は現行ハイエースの人気は未だに衰えていないのです。当初は1年間の目標販売台数は15万台に設定されていて、実際の販売でもそれを達成し続けてきました。リーマンショックの時には一度落ち込んだのですがその後徐々に盛り返して、未だに総生産台数は年間18万台をキープし続けています。今でも国内販売が4割、しかも今年の7月には単月では過去最高の販売台数を記録していますから、相変わらず人気は高いのです。

販売台数が落ちてきたからマイチェンで刺激、ではなかったのだ。となれば、マイナーチェンジを手がける包原氏ら開発陣のプレッシャーも相当なものだったはずだ。

マイナーチェンジの内容を考えるに当たって、現行ハイエースの開発初期からこれまでの経緯も把握されているはず。果たして200系ハイエースはどのような狙いを定めて開発されたクルマだったのか。そして、これまでの圧倒的なロングセラーをマイチェン開発主査は、どう評価・分析したのだろうか。次回はその辺りの真意に迫る。

《高根英幸》

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