【ハイエース開発主査に聞く】エクステリアデザインに施された機能的な効果

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トヨタ ハイエース
トヨタ ハイエース 全 10 枚 拡大写真

開発を担当した主査、包原氏によれば、今回のトヨタ『ハイエース』のマイナーチェンジでは、エクステリアデザインに走りを向上させる機能を持たせたと言う。そんなことができるのだろうか。

包原氏(以下敬称略):それはエアロスタビライジングフィンのことです。スーパーGLのテールランプとドアミラーの付け根部分に施した小さな突起なんですが、これは商用車では初めての装備です。大したことないものだと思われる突起ですが、テールランプに並んだ4つの突起は、大きさが微妙に違うんですよ。これもテストを繰り返して最適な大きさとバランスを決めた結果です。それと車体の底、アンダーカバーにも採用しています。

ハイエースが空力にこだわる理由

エアロスタビライジングフィンは、直訳すれば空力安定翼。トヨタは『86』や『カムリ』のテールランプに小さな突起を与えており、色々な車種のCピラーに追加するディーラーオプションとしても用意されている。

新しいハイエース・スーパーGLのテールランプはウインカー&バックランプのクリア部分が一体化して、赤いレンズ部分のカットもより高級感が増しているだけでなく、側面には4つの突起が追加されているのである。見た目にはほとんど気にならない大きさだ。雨天走行時などにタイヤが巻き上げる、水煙によるテールゲートの汚れが減らせるものか、と思われるかもしれない程度の小さな突起である。

包原:小さな突起なのでこれが走りに影響するとは思えないかもしれませんが、確実に操縦安定性に影響しているのです。突起を通過した空気はら旋状に渦を巻いていくのですが、ボディに沿って流れることで操安性が高まります。こうすると流速が1.2倍に高まることが分かっています。これで空気抵抗も低減します。

テールランプをLEDにしなかったのは、世界中での販売実績が要因

テールランプやミラーステーの突起によって渦を巻いて空気が流れる。これによって空気抵抗を低減するだけでなく、空気の乱流による不安定なクルマの動きを減らせるのか。ところでテールランプと言えば、最近は電球ではなく反応が速く明るいLEDを光源に採用することも多いが、新しいスーパーGLでもデザインは一新しながらも光源は電球を引き続き採用している。これはコストが理由なのだろうか。

包原:LEDにしなかったのは、万一レンズを破損させた場合、LEDを使っているとテールランプ交換の費用が上昇してしまうからです。それはお客さんに対して本当に優しいことなのか、疑問に思いまして、従来の電球を採用しました。LEDテールランプは、色々カスタムパーツが出回っていますからアフターマーケットに任せたいと思っています。

他にもスタイリングにはパッと見ただけでは分からない細かな手直しが、何か所かあると言う。

包原:リヤのナンバープレートの上にあるガーニッシュも寸法は同じなんですが、縁のRの付け方を変えることでボリュームが増しているように見せています。デザイナーには「そんなことで変化は付けられない」と言われたのですが、「絶対出来るから」と言ってやらせました。

従来のハイエースと見比べて見ると、確かに立体感が増してリヤビューのメリハリが増している。それにしてもテールランプの小さな突起が走りを変えている、というのはトヨタらしく無駄なくデメリットもない素晴らしい改善だ。ところが、走りへの追求はこれだけに止まらないと言うではないか。包原主査は、新型ハイエースに一体どんなチューニングを施したのだろう。

《高根英幸》

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