三菱重工業は2月1日付で、トルコのシノップ原子力発電所プロジェクトへの取り組みを強化するための新組織「トルコ原子力IPP推進室」を新設する。
トルコ原子力IPP推進室は同社の前川篤副社長をトップとするエネルギー・環境ドメイン直属の組織として発足させる。今後本格化するファイナンスの枠組みや、電力販売契約など、プロジェクトの具体的な条件を整備していく。
トルコ原子力プロジェクトは、黒海沿岸のシノップ地区に4基の原子力発電所を建設・運営する原子力IPP(独立系発電事業)案件。昨年10月、トルコ政府と国際コンソーシアムとの間で、HGAと呼ばれる商業契約で大枠合意したのを受け、今後、トルコ政府との間で詰めの交渉が本格化する見通し。新組織はこれらの取り組みを加速していくため設けるもの。
新組織は、フィージビリティスタディ(事業化調査)の実施、各種契約の締結交渉、ファイナンスの組成の準備、現地化・技術移転などを検討する。
今回のプロジェクトには、三菱重工と仏・アレバの合弁会社であるATMEAが開発した最新鋭原子炉である「ATMEA1」が採用される計画。ATMEA1は出力110万kW級の加圧水型炉(PWR)の第三世代プラスの炉型で、東日本大震災後、フランス原子力安全規制当局とカナダ原子力安全委員会から基準適合の評価を受けた、震災対策を反映済みの原子炉。
三菱重工は今回の新組織設立を機に、プロジェクトへの取り組みを強化していく方針で、最新鋭の原子力技術の提供を通して、トルコの経済と産業の振興に貢献していくことを目指すとしている。