【CES14】トーンダウンした自動運転、その理由は

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アウディが行ったオートパーキングのデモ
アウディが行ったオートパーキングのデモ 全 12 枚 拡大写真

昨年のCESでは自動運転が否応なしに注目されたが、今年は正直肩すかしを食らった感が強い。というのも積極的に自動運転をアピールしたのは主として、オートパーキングに関してが大半だったからだ。その理由は一体どこにあったのだろうか。

今年、CESで最も華々しい自動運転のアピールを行ったのはBMWだった。それは「自動ドリフト走行」を行うというもので、車両の極限状態できめ細かに制御できることをアピールするために開発したらしい。しかし、これ以外はといえば、各社とも駐車場に車両を自動的に入れるオートパーキングに関するデモを行うのがほとんどだった。

たとえばアウディ。昨年はアウディTTSを使った実験車両がカリフォルニア郊外のサーキットで走行試験をしたり、フリーウェイでの渋滞時に一定速度までフルオート走行が出来たり、さらにはネバダ州で公道実験の認可を取り付けた等、とにかく話題は自動走行一色だった。

それが今年は、公道実験は続けているとのアナウンスがあったものの、CESで披露したのは車両が自動的に指定した駐車場に入っていくデモを行うのみ。キーノートスピーチでCEOルパート・シュタートラー氏を乗せてきたのも、車載プロセッサをまとめたモジュール『zFAS』の第一世代を搭載したA7。つまり、オートパーキングを処理する機能を備えた車両だった。この時、シュタートラー氏は「これが実現できたのも『zFAS』というボードがあったからこそ」と盛んにその成果を強調したが、昨年に比べると自動運転については明らかにトーンダウンしている。

これは何もアウディに限ったことではない。トヨタは完全にFCVに話題を振ってしまったし、GMやフォードはメインをサードパーティがアプリを制作するために使用する開発ツールがメインだった。ボッシュなどサプライヤー系もエマージェンシーブレーキか、オートパーキングをデモするのみ。会場を訪れ、この状況に落胆をおぼえた人も多かったはずだ。

では、どうしてここまで自動運転が控えめになったのか。あるサプライヤーメーカーの担当者によれば、「各社が自動運転を研究開発しているのは既に周知済み。しかし、昨年に比べてこれといった進化がなく、見せるものがなかった、というのが大きい。それよりも間もなく実現する夢を具体的に披露する方が得策と判断したのではないか」と話す。

確かに、自動運転については、一部のメーカーが実用化できる時期を発表したりしているものの、実現までに解決すべき問題は山積み。しかもそれは国によって事情が異なる。日本もようやく公道実験の動きが見られるが、それもどこか及び腰的な印象が強い。技術的な問題は積み重ねによって解決していくだろうが、とくに法律や責任問題となるとなかなか前へと進めない。そんな状況を踏まえた結果が今回のCESでの展開だったように思う。

《会田肇》

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