ランクセス日本代表「2014年は重要な年」…サプライヤーのグローバル化に活路

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ランクセス(日本法人)代表取締役で日本/韓国の代表を務めるペーター・ワインマール氏
ランクセス(日本法人)代表取締役で日本/韓国の代表を務めるペーター・ワインマール氏 全 11 枚 拡大写真

合成ゴムやプラスチックなどの特殊化学品を製造するランクセスは2月13日、都内で報道陣との懇談会を開催した。この席で同社の日本法人代表取締役で日本/韓国の代表を務めるペーター・ワインマール氏が挨拶に立ち、日本の自動車関連企業へのアプローチを継続・強化していくことを明らかにした。

◆欧州有数の化学メーカー

ランクセスは、ドイツ・ケルンに本拠を置くケミカルメーカーで、従業員1万7000名、世界31カ国に52の製造拠点を持つ。2012年度の連結売上は91億ユーロ(1兆2700億円)。これは国内化学関連企業との比較で見れば、三菱化学(1兆9618億円)に次ぐ旭化成(1兆5000億円)や三井化学(1兆4062億円)と同程度の企業規模(いずれも2012年度)。地域別の売上構成はドイツを除く欧州/中東/アフリカ(EMEA)が27.8%、アジア太平洋が24.2%、北米が17.7%、本国ドイツが17.3%、ラテンアメリカが13%となっている。

日本には東京(本社)・豊橋・姫路の3拠点があり、合わせて約100名の従業員を抱える。豊橋事業所では子会社による予備分散ゴム薬品の製造や、液体高純化テクノロジーズビジネスユニットが置かれ、カスタマーテクニカルサービスセンターによる顧客対応をおこなっている。また姫路事業所では皮革用化学品ビジネスユニットが置かれている。

懇談会会場の一区画には、同社が供給する無機顔料やプラスチック製品(オイルパン/エンジンヘッドバルブカバー/エアバッグコンテナ/ブレーキペダル)を展示したほか、「レバブレン」という製品名で展開している逆浸透膜エレメント、さらに変わり種として小学生向けの化学実験キットを置き、同社の多彩でユニークな技術を披露していた。

◆経営トップ交替で事業ポートフォリオ刷新に取り組む

同社は2011年比で3.6%の売上増、EBITマージン(日本の営業利益率に相当)8.9%と化学メーカーとして堅調な成長を継続している。特にアジア太平洋地域に関しては、2013年4月に香港でアジア太平地域用途開発センターを開設、エンジアリングプラスチック素材などを供給する自動車関連分野の顧客やパートナーのサポート強化に着手した。また、6月にはシンガポールにタイヤ向けのブチルゴム製造プラントを立ち上げるなど、事業拡大にも積極的だ。

このように、順調に推移しているランクセスの事業だが、ワインマール氏は楽観視しておらず、「2014年はランクセスにとって非常に重要な年」と述べる。というのも、「現状は厳しい経営環境下にある」と認識しており、具体的には「市場規模や事業ポートフォリオに重要な課題を抱えている」(ワインマール氏)からだ。

この課題打開に当たり、ドイツ本国のランクセスAGは、経営トップの交代をこの1月にアナウンスした。「現CEOが退任し、後任として元役員兼CFOを務めたマティアス・ツァハト氏が5月までに着任する。ツァハト氏の元で、今後のランクセスの戦略的方向性が示される」という(ワインマール氏)。

事業説明の後、ワインマール氏に日本の自動車関連企業へのビジネス強化に向けた取り組みについて尋ねた。ワインマール氏は、「自動車メーカーを取り巻くサプライチェーンはここ数年で急速にグローバル化した。日本もその例外ではなく、世界の市場でバランス良くビジネスしている当社にとってはチャンスと考えている」と展望を語る。同社としては、1000万台近い生産規模を持つ日本国内はもちろんのこと、ASEANなどの新興国でも大きな自動車販売シェアを持つ日本の自動車メーカーおよびサプライヤーとの関係強化に取り組む考えだ。

《北島友和》

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