【メルセデスベンツ CLA45 AMG 試乗】世界最強の4気筒が織りなす圧倒的パフォーマンス…中村孝仁

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ CLA45 AMG
メルセデスベンツ CLA45 AMG 全 15 枚 拡大写真

4690x1780x1430mm。全長だけは長いが、サイズ的にはほとんどマツダ『アクセラ』のレベル。そのサイズに2リットル直4ターボエンジンを搭載したのが、メルセデスベンツCLA45AMGである。

そのエンジンが、ただものじゃない。360ps/450Nmの性能を発揮する。量産の4気筒エンジンとしては、世界最強だそうだ。そもそもAMGが4気筒を手掛けるのもこれが初めて。果たしてどれほどの性能を示してくれるのか、乗る前から興味津々だった。六本木のメルセデスベンツでクルマを受け取り、エンジンをかけた瞬間からかなり図太いエクゾーストサウンドに驚かされる。エンジンが冷えているとファーストアイドルが高く、しばらくはこの図太い音を響かせる。トランスミッションは例によって7速DCTであるが、今やDレンジをセレクトしている限り、普通のATとそのフィーリングは何ら変わらない。簡略化されたゲートはR、N、Dの3ポジションしかなく、Pもプッシュボタン。マニュアルモードはパドルで行う合理的なものだ。

さすがに精々出ても60km/h以下の領域で終始する街中は、かなりの突き上げ感を伴う乗り心地で、お世辞にも快適とは言えず、体は上下左右に揺さぶられる。しかし、シェル型のバケットシートはほぼ完ぺきに体をサポートしており、その点に関しては文句なしのレベルだった。

都内の移動は踏み込んでも2000~2500rpm程度の回転域で終始し、アクセルの開け方も穏やかだから、この領域ではAMGの本性は目覚めない。ところがノーズを東名高速に向け、20km/hで進む料金所のゲートを抜けた瞬間にフルスロットルをくれると、まさしく解き放たれた猟犬のごとく、凄まじい勢いで加速する。2速であっという間に100km/hに到達。残念ながらそこから先は想像にお任せするしかないが、コンパクトなセダンでこれほどのパフォーマンスを持つクルマにはお目にかかったことがない。しかも、突き上げ感満載だった乗り心地は、まるで別人ではないが、これが同じ車かと思うほど快適なものに変化するのである。

パフォーマンスを示す、Pの文字が入る235/40ZR18というサイズのコンチネンタル「スポーツコンタクト5P」は、すでにかなり痛めつけられた状態であったが、それでも「ピンポイントを狙える正確な操縦性」と「力強く卓越したグリップ力」という、コンチネンタルの宣伝文句通り、狙ったラインを確実にトレースし、しかもすさまじいグリップ力を示す。今回の試乗ではなんとこの時期にもかかわらず、東名高速御殿場付近で追い越し車線が白くなるほどの雪に見舞われたが、4マチックのおかげもあってサマータイヤにもかからわず、その区間を無事にやり過ごすことができた。

高性能車に乗るということは、その卓越したパフォーマンスの恩恵を受けるだけではない。もう一つの恩恵はブレーキだ。まさに強力無比。踏み込めば踏み込むほど、その効力を発揮してくれる有難く、そして安心できる存在だった。

およそ800kmを後にした燃費は、ほぼ11km/リットルという結果。まあ、名古屋往復のほとんどが東名高速だったことを考えれば納得の数値だが、このクルマには似合わないであろうエコ運転をすれば、その数値はさらに伸びることは確実。使い方次第でエコカー並みのおとなしいクルマに変貌できるのも最新のコンパクトAMGのようである。

パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来36年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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