彗星探査機ロゼッタ 目的地チュリモフ・ゲラシメンコ彗星を撮影 着陸機フィラエも冬眠から回復

宇宙 科学
ロゼッタ搭載のオシリスカメラ、望遠で撮影した67P/ チュリモフ・ゲラシメンコ彗星
ロゼッタ搭載のオシリスカメラ、望遠で撮影した67P/ チュリモフ・ゲラシメンコ彗星 全 2 枚 拡大写真

2014年3月27日、ESA 欧州宇宙機関の彗星探査機『Rosetta(ロゼッタ)』は、今年11月に世界初の彗星への着陸探査を行う予定の目的地、67P/チュリモフ・ゲラシメンコ彗星をカメラでとらえた。

彗星を撮影した映像は3月20日、21日にロゼッタ探査機に搭載の「OSIRIS(オシリス)」広角カメラと望遠カメラで撮影したもの。マックスプランク・ソーラーシステム研究所が製作したオシリスカメラは、ロゼッタに搭載された11の観測機器のひとつで、冬眠前には小惑星ルテティアの撮影も行っている。ロゼッタが彗星に到着してからは、彗星表面の地質調査や重力、質量、形状、内部構造、ガスやちり、プラズマ環境などの観測に用いられる。

ロゼッタ探査機は、およそ10年かけて目的地の彗星への航行を続けており、2014年1月20日に2年7カ月ぶりに電力を節約するための冬眠状態から回復し、今年8月の彗星到着に向けて順調に飛行している。チュリモフ・ゲラシメンコ彗星まではあと500万キロメートルあり、画像の中で彗星はまだ1ピクセル以下にしか映らない。露光するために60~300秒かかるという。撮影データはが地球に到着するまで37分必要で、画像1枚当たりダウンロードには1時間ほどかかる。「これほど離れた地点から画像が撮影できたのですから、オシリスカメラの準備は万全です」とオシリスカメラのホルガー・シークス主任研究員はコメントしている。

今後、オシリスカメラとロゼッタの航法カメラで定期的に彗星の撮影を行い、彗星とのランデブーに向けて軌道調整を行う。ロゼッタの現在の彗星との相対速度は秒速800メートルで、5月から徐々に相対速度の調整を行う。彗星まで100キロメートル以内に達する8月の初めには、秒速1メートルまで持っていく予定だ。

ロゼッタが彗星に近づくにつれ、カメラの視野の中で幅4キロメートルの彗星は2000ピクセル以上と大きく映るようになる。1ピクセル当たりの解像度は2メートルに達し、これほどの高解像度で彗星表面を撮影できるのも世界初になるという。

チュリモフ・ゲラシメンコ彗星が撮影された翌28には、着陸機「Philae(フィラエ)」も冬眠状態から回復し、「Hello, outer space!」とTwitter上で無事に回復したことを告げた。

《秋山 文野》

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