KTR「あかまつ」「あおまつ」と「くろまつ」の違い

鉄道 企業動向
KTRが新たに導入する観光車両「くろまつ」。KTR707を全面的にリニューアルした。
KTRが新たに導入する観光車両「くろまつ」。KTR707を全面的にリニューアルした。 全 7 枚 拡大写真

北近畿タンゴ鉄道(KTR)がこのほど発表したリニューアル車「くろまつ」は、2013年に導入された「あかまつ」「あおまつ」に続く観光車両の第2弾で、デザインも共通性が高い。その一方、運用面では「あかまつ」「あおまつ」と異なり、「レストラン列車」の性格を強めている。

KTRは2013年4月、観光客の誘致を図るため、運賃とは別に乗車整理券が必要な定員制観光列車『丹後あかまつ号』『丹後あおまつ号』の運転を開始。車両は宮津線の転換開業時に導入したKTR700形2両をリニューアルした「あかまつ」(KTR702)と「あおまつ」(KTR708)を投入した。車両デザインは水戸岡鋭治さんが担当しており、木材を多用した車内設備を特徴としている。

同年11月からは、運転形態を一部変更。KTR800形1両(KTR803)を一般列車用としてリニューアルした「コミューター車両」を投入し、『丹後あかまつ号』は「あかまつ」と「コミューター車両」の2両編成、『丹後あおまつ号』は「あおまつ」1両の運転となった。定員制は『丹後あかまつ号』の「あかまつ」のみとし、それ以外の車両は運賃だけで乗車できるようにしている。

今年5月から『丹後くろまつ号』で運用される「くろまつ」も「水戸岡デザイン」のリニューアル車で、KTR700形のKTR707を全面的に改装。塗装こそ「漆黒のボディ」という違いはあるものの、マツをモチーフしたデザインや木材を多用した車内は「あかまつ」「あおまつ」と同じだ。

一方、車内設備や運用形態は従来の「あかまつ」「あおまつ」とは様相が異なる。

「くろまつ」を使用する『丹後くろまつ号』は、車内でコース料理を楽しみながら移動する「レストラン列車」としての性格が強く、そのコンセプトはJR八戸線で運転されている「TOHOKU EMOTION」などに近い。乗車に際しても『丹後あかまつ号』『丹後あおまつ号』は通常の運賃と乗車整理券、または運賃だけで利用できるのに対し、『丹後くろまつ号』は運賃や特別車両料金、メニューの食事・飲み物などを含むパッケージ料金で利用することになる。

このため、「くろまつ」の客席は全て飲食を前提としたテーブル付きとなっており、2人がけテーブル席と4人がけテーブル席をそれぞれ五つ設置。他にキッチンなども設置して供食機能を強化している。

『丹後くろまつ号』は当面、金・土曜と休日に福知山10時22分発~天橋立11時44分着の1号、天橋立12時25分発~豊岡14時54分着の3号、豊岡17時14分発~西舞鶴19時07分着の2号の3本が運転されるが、車内で提供されるメニューは列車ごとに異なる。

午前中に運転される1号(大人4000円・子供3600円)は「スイーツのまち福知山のお店から取り寄せたおすすめ和洋菓子を楽しむコース」とし、「季節のタルト」「丹波栗の和のモンブラン」「新鮮ミルクと卵のシュークリーム」「手づくりアップルパイ」の中から3種類を週替わりで提供。また、「かりんとう饅頭」「丹波産大納言小豆のぎんつば」などを持ち帰り用として用意する。

昼間の2号(大人1万円・子供9400円)は、「旅館『佳松苑』の深野総料理長が監修したちょっと贅沢なランチを味わうコース」。「へしこと新鮮野菜のサラダ」「丹後若布の新緑スープ」「京都牛(または但馬牛)のローストビーフ」「丹後の海山の幸の和風パエリア」「くろまつオリジナルデザート」などを出す。途中停車駅の久美浜駅では「駅市」を開催し、停車時間中に地場産品を買うことができるようにする。

夜間の運転となる3号(大人5000円)は、「夕暮れの風景とともに『海の京都』の13蔵から厳選した日本酒とお料理の相性を体感するコース」。13蔵から選んだ地酒数種類と、お酒との相性を考えた地元食材による料理9種の詰め合わせを出すほか、「くろまつ」のロゴが入ったオリジナル猪口(ちょこ)をプレゼントする。お酒や蔵元の紹介とともに料理との相性も解説し、乗客に「合わせる料理でお酒の味が七色に変わる不思議を体験」してもらうという。また、隔週土・日曜(8500円)は「SAKEソムリエ」の古田豊弘さんが添乗し、お酒と料理の楽しみ方をより詳しく解説する講座を開催する。

『丹後くろまつ号』の運転開始は5月25日の予定。予約受付は5月1日10時から開始する。

《草町義和》

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