惑星系の前駆天体の構造を解明、国立天文台・秋山氏ら

宇宙 科学
各図上段の黒の曲線が今回の観測で検出された円盤からの放射(出典:国立天文台)
各図上段の黒の曲線が今回の観測で検出された円盤からの放射(出典:国立天文台) 全 1 枚 拡大写真

国立天文台の秋山永治氏らの研究グループは、野辺山45m電波望遠鏡と南米チリにあるASTE10m電波望遠鏡を用いて惑星系の前駆天体の構造を解明した。

秋山氏らの研究グループは、野辺山45m電波望遠鏡と南米チリにあるASTE10m電波望遠鏡を使って、おうし座にある太陽の約2倍の質量を持つ天体MWC480に付随する原始惑星系円盤を観測し、ガスの密度分布と温度分布の構造を明らかにした。

複数の理論計算で観測結果を再現したところ、中心星の光が直接当たる円盤表面付近では高温、光が届きにくい円盤内部では低温となり、厚さ方向に温度勾配があることが解明された。

また、従来考えられていたより遙か遠くまでガスが薄く広がっていることも分かった。円盤外縁部では、円盤内縁部からガスやチリがゆっくりと移動し、宇宙空間に散逸して現在見られる太陽系のようなガスが晴れた惑星系が形成されていくと見られる。

国内にある電波望遠鏡と異なり、ASTE望遠鏡はサブミリ波という種類の電波を受信できる。このサブミリ波での観測は、原始惑星系円盤のように、比較的濃く高温な状態にあるガスをより効率的に捉えることができる。この結果、これまで検出が困難だった星からより遠方に広がったガスまで捉えることに成功した。

現在、建設途中のALMA望遠鏡によって、他の天体でもこのような円盤構造が示唆されており、先駆的な役割を果たしている。

《レスポンス編集部》

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