【プジョー 2008 試乗】意外な軽快さに「これでいいじゃないか」…松下宏

試乗記 輸入車
プジョー2008
プジョー2008 全 16 枚 拡大写真

最近はコンパクトクラスのライトSUVがちょっとしたブームだ。ヨーロッパでは日産『ジューク』の成功に刺激されたのは、各社からBセグメントのSUVが次々に登場している。

【画像全16枚】

プジョー『2008』もそんな1台で、『208』系のプラットホームをベースにやや高めの最低地上高によってロードクリアランスを得たほか、ルーフレールを備えるなどしてSUV感覚のモデルに仕上げている。駆動方式はFFのみで4WDの設定はない。

全幅が1740mmなので日本では3ナンバー車になるが、全長は4170mmと短めで、全高もタワーパーキングにも入る1550mmに抑えられている。最小回転半径も5.5mなので、コンパクトで取り回しがしやすく扱いやすいクルマである。

最低地上高は150mmで、国産車として考えると普通の高さながら、ベースの208が120mmであるのに比べるとやや高めの設定だ。このあたりもSUVらしさなのだろう。運転席に座ると心持ち高めのアイポイントが用意され、視界の良さにつながっている。

搭載エンジンは新開発の直列3気筒1.2リットルで、208に搭載されたのと同じもの。気筒数を少なくして排気量のダウンサイジングを図ると同時に、エンジン自体の軽量コンパクト化も同時に達成した。

プジョー・シトロエンでは、このエンジンにETG5と呼ぶシングルクラッチの新トランスミッションを組み合わせ、更にスタート/ストップ機構(アイドリングストップ機構)を採用して新世代のパワートレーンとしている。

ほかのメーカーではダウンサイジングしたエンジンにターボを装着してトルクを稼ぐのが普通だが、2008は自然吸気の小排気量エンジンを搭載する。

当然ながら動力性能は控えめな数値にならざるを得ない。60kW/118Nmの実力だから、今どきのエンジンとしては相当に非力なエンジンといっても良いくらいだ。しかも2008はSUV感覚のボディなので208に比べて50kg~70kgくらい重い。大人一人分くらいの重さの違いがあるから、乗る前にはどんな走りを示すのか懸念を感じていた。

ところが、実際に走らせてみると普通に良く走る。重さに負けている感じは全くなく、余裕十分とは言えないまでも、必要十分な動力性能だと思った。想像していた以上に軽快で、これでいいじゃないか、そんな感じの走りだった。3気筒エンジンはともすれば余分な振動が発生しやすいが、それもうまく抑えられている。

ETG5もなかなか具合が良かった。シングルクラッチというと、ヨーロッパでは幅広い車種に採用されていて、どのクルマでも変速時のトルク抜けが欠点とされてきた。それが2008に搭載されたETG5では、相当にスムーズな変速を示した。これまでのシングルクラッチの常識を破るといっても良いくらいに滑らかな変速だ。

発進時に少し気を使って発進することが必要だが、それさえ遵守したなら、走り出した後は普通のAT車に乗るのと変わらない感覚である。それくらいに良くできているので、高く評価していい。

価格は試乗したプレミアムが254万円、上級グレードのシエロが279万円の設定だ。直接的なライバル車であるルノー『キャプチャー』が、1.2リッターのターボ仕様エンジンと6速のデュアルクラッチを搭載して256万9000円と267万2000円の設定だから、価格競争力の面ではやや厳しい感じである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

松下宏|自動車評論家
1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。

《松下宏》

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