米国務省は20日、各国・地域の人身売買の実態や政府による対策をまとめた「2014年人身売買報告書」を発表した。
マレーシアを含めた4カ国の政府による人身売買の撲滅に向けた対策が不十分であるとし、これらの国々を最下位の評価である第3段階に引き下げた。第3段階に引き下げられたのはマレーシアとタイ、ガンビア、ベネズエラ。
マレーシアは過去4年に渡り、第2段階のウォッチリストに入っていた。
報告書によると、マレーシアでは強制労働と性目的の人身売買が存在する証拠が存在する。マレーシアが抱える問題は他のアジア諸国から農場や工場、建設現場などでの就労を目指して入国する外国人出稼ぎ労働者が、雇用主によりパスポートを取り上げられ賃金を抑えられているという点。他にも、子供や女性が性産業で搾取されているという。
米国務省はマレーシア政府に対して、人身売買に関する法律の改正や被害者の認証、保護の強化、人身売買問題の対応に特化した非政府組織(NGO)への資金提供などを提案している。
第1段階の評価を得た国の政府は人身売買の最低基準を満たす取り組みを行っている。第2段階の国では基準を完全に満たしてはないが、政府の取り組みが評価できる水準であることを意味する。第3段階では最低基準を完全に満たさず、米国政府に対して人身売買問題への具体的な取り組みについて報告を行っていない。第3段階の国に対しては米国から開発援助を受けることや、世界銀行、国際通貨基金(IMF)などからの支援を受ける際に米国政府が反対意見を示す場合もあるという。