気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2014年6月26日付
●人口減自治体の8割、自然減最多の23万7000人(読売・1面)
●「究極のエコカー」年度内発売、トヨタ700万円程度 (読売・1面)
●12両リニア時速400キロ、編成長く試験(読売・36面)
●ガソリン高騰167円、5年9か月ぶり水準、イラク情勢悪化背景(朝日・8面)
●五輪時の首都高、3区間は工事中、渋滞は迂回路で防止 (朝日・8面)
●光岡初のHV「流儀」込めて (朝日・8面)
●いすゞ、18年までに実用化目標、クルマ動かせミドリムシ(毎日・7面)
●W杯特需もう終わり? 日本敗退盛り上がり欠く(日経・3面)
●日本車前へ、中国市場に入り込め(日経・12面)
ひとくちコメント
連日のように紙面を飾っていたサッカーのワールドカップブラジル大会の話題は、日本が1次リーグで敗退したことで、きょうの各紙は「サムライ夢ありがとう」(毎日)などと、その戦いぶりを総括する記事が際立つ。
日本代表の決勝リーグ進出は夢物語に終わったが、夢といえば、次世代エコカーに目を移すと、早くも現実になりつつあるのが燃料電池車だ。
トヨタ自動車が水素で走る燃料電池車(FCV)を2014年度中に世界に先駆けて市販すると発表した。少し前までは「1億円以上」とされていた価格は約700万円という。レクサスなどの高級車並の値段で購入できるから「究極のエコカー」を手に入れることも夢ではなくなる。
きょう各紙も、日経が「燃料電池車、初の市販、トヨタ、日本で年度内」との大見出しで1面のトップ記事で掲載。他紙も「燃料電池車700万円で発売」(朝日)などと、経済面などで大きく取り上げている。恐らく、今年上半期の自動車関連の話題としては、「相次ぐリコール」の記事を除くと、紙面を飾った中では最大のビッグニュースとみられる。
ただ、FCVの普及には課題も山積する。各紙も「価格はまだ高く、燃料を補給する水素ステーションの整備などに課題が残る」(読売)からだ。
また、ホンダや日産自動車も市販に踏み切る構えだが「『本気度』には温度差がある」と、朝日は指摘。自動車業界の足並みがそろわない恐れもあるとみられている。
この日、トヨタが発表会場で展示したFCVは、限りなく市販車に近いデザインのセダンタイプの試作車で、詳しい技術説明などは先送りされた。発表の前日には政府が骨太の方針と新たな成長戦略を閣議決定している。
経済の好循環の実現を目指すアベノミックス第3の矢の目玉のひとつが燃料電池車の普及であることも、絶妙な発表のタイミングである。