小惑星資源の財産権保護法案「アステロイド法」、米超党派議員が提出

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小惑星資源の財産権保護法案「アステロイド法」、米超党派議員が提出
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2014年7月10日、米共和党のビル・ポージー議員と民主党のデレク・キルマー議員は、連名でアメリカの企業が小惑星の資源を採掘した際にその財産権を保護する法案、通称「アステロイド法」を提案したと発表した。

連邦議会下院科学宇宙技術委員会のメンバーである両議員が提出した「American Space Technology for Exploring Resource Opportunities in Deep Space Act of 2014」法案は、頭文字が「ASTEROIDS」となり、小惑星を意味することから「アステロイド法」と呼ばれる。

ポージー議員は、「小惑星から価値の高い資源と鉱物が利用できる可能性が高い」としており、民間による小惑星探査を促進し、その活動から得られる資源を保護することが目的だとしている。キルマー議員は、「成長しつつある産業に”射点”を用意することで、合衆国は重要な希少金属の供給源にアクセスできるようになる」と小惑星資源の将来性を強調している。小惑星からは、ニッケル、コバルト、鉄に加え、プラチナ、オスミウム、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウムといった希少金属も得られる可能性があるという。

法案では
・小惑星から採掘される資源は、それを得た主体の所有物であることを明らかにする
・米国企業が有害な干渉なしでその事業を行うことができることを確認する
・大統領に小惑星資源の商業開発を容易にするように命じる
以上3つを求めている。

1967年に発効し、100カ国以上の国が批准する宇宙条約では、月や小惑星を含む天体の国家による領有を禁止している。この時代の宇宙開発の主体は国家であり、個人や私企業を想定していないものの、国際宇宙法学会は、個人が天体に対して占有する意思を表明する行為を認めないよう、国家が国内法を整備することを求めている。ポージー議員は、提出した法案は小惑星から採掘した資源の財産権を認めるよう求めているのみで、小惑星そのものの領有は認めていないとし、宇宙条約には抵触しないと説明している。

現在、アメリカではワシントン州レドモンドに本拠を置くプラネタリー・リソーシズ、テキサス州ヒューストンのディープ・スペース・インダストリーズの2社が小惑星からの資源採掘を目標として活動を行っている。2社はNASAの小惑星有人サンプルリターン計画、「アステロイド・リダイレクト・ミッション」にも参加しており、小惑星資源化へ向かって前進している。

《秋山 文野》

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