オール電化通信衛星を打ち上げ、アジア太平洋地域の航空機通信サービスに対応

宇宙 企業動向
EUTELSAT 172Bの軌道上イメージ
EUTELSAT 172Bの軌道上イメージ 全 2 枚 拡大写真

2014年8月1日、アリアンスペース社は欧州の通信衛星運用企業ユーテルサット社の通信衛星『EUTELSAT 172B』 の打上げ契約を受注したと発表した。衛星はエアバス・ディフェンス&スペース社が製造を担当し、欧州初の電気推進衛星となる。

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EUTELSAT 172B は、2017年に南米フランス領ギアナ宇宙センターからアリアン5で打ち上げる予定で、アリアンスペースが打ち上げるユーテルサット社の28機目の衛星になる。

衛星は東経172度の静止軌道上に打ち上げられ、14台のCバンドトランスポンダおよび、北太平洋・北東アジア・南東太平洋・南太平洋地域をカバーする36台のKuバンドトランスポンダを搭載する。アジア太平洋地域で同社初の航空機内の通信サービスに対応する。機内でのブロードバンド通信サービスと映像などのコンテンツ配信はパナソニック・アビオニクス社が提供する。

衛星の打ち上げ時重量は3500kg、電力は13キロワットとなる。同地域で2005年に打ち上げられた、Cバンド、Kuバンド対応のEUTELSAT 172Aの場合、打ち上げ重量は5000kgある。

衛星製造を担当するエアバス・ディフェンス&スペース社の発表では、ユーテルサット 172Bは「Eurostar E3000」衛星バスをベースに、電気推進で軌道を維持する「EOR (Electric Orbit Raising)」システムに対応しているという。電気推進とは、太陽電池からの電気エネルギーを利用した推進機関で、日本では小惑星探査機「はやぶさ」に搭載されたキセノンを推進剤とするイオンエンジンなどの種類がある。燃料と酸化剤を反応させて推進力を得る化学推進に比べ、少ない量の推進剤で長時間推進力を得ることができる。従来の通信衛星では、打ち上げ後に目的の軌道に到達するため、また運用期間中に軌道を維持するために化学推進システムを使用していた。電気推進システム対応の衛星はそれよりも衛星を軽量化することが可能で、打ち上げコストの低減にもつながる。ただし、電気推進エンジンで加速する場合には化学推進エンジンよりも時間がかかるため、ユーテルサット 172Bが打ち上げ後に所定の軌道に到達するには、およそ4か月かかる予定だという。

アリアンスペース社のステファン・イズラエラルCEOは、「ユーテルサット社は世界有数の衛星オペレーターであり、同社から選定していただいたことを大変光栄に思います。ユーテルサット社とは、これまで30 年にわたる協力関係を築いてきました。今回の受注により、3.5t級の衛星にも、またオール電化推進衛星の打ち上げにも対応するアリアン5 の競争力の高さがあらためて実証されたといえます。今回の契約調印にご尽力いただきました皆様のサポートに心より感謝申し上げます」とコメントしている。

《秋山 文野》

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