【頭文字D × レスポンス】“快適F1”コンセプトを実現するアルミへの挑戦…NSX 開発者、元ホンダ 上原繁氏

モータースポーツ/エンタメ 出版物
NSX、S2000、タイプRシリーズなどを手がけた上原繁氏(元・本田技術研究所)
NSX、S2000、タイプRシリーズなどを手がけた上原繁氏(元・本田技術研究所) 全 8 枚 拡大写真

新劇場版『頭文字D』Legend1-覚醒- の公開に合わせ講談社は、頭文字D連載18年の歴史を振り返るガイドブック『頭文字Dの軌跡 挑戦の記』を発売した。「挑戦」をキーワードに、原作者しげの秀一氏によるロングインタビューや、名シーンの解説のほか、単行本未収録の番外編なども収めたファン必携の書に仕上げられた。

また、本書の見所のひとつ「レジェンドインタビュー5連発」では、レスポンス編集部との共同編集により、劇中に登場する国産スポーツカー開発者へロングインタビューを敢行。開発秘話を語ってもらった。

ホンダからは、終盤に登場しプロジェクトD高橋啓介と死闘を繰り広げた『NSX』や、主人公・藤原拓海と文字通り極限のバトルをおこなった『S2000』、そしてハチロクの好敵手として描かれた「タイプR」シリーズなどを手がけた上原繁氏(元・本田技術研究所)が登場。90年代のホンダスポーツにかけた情熱と、その挑戦とはいかなるものだったか。

本稿では、『頭文字Dの軌跡 挑戦の記』に掲載された上原氏のインタビューを、一部抜粋してお届けする。

◆リアルに走れ! それがホンダ流のスポーツカーへの思い

----:それではズバリ『NSX』のコンセプトはどのようなものでしたか?

上原:「快適F1」。高性能なんだけど、人間中心で、非常にコントロールしやすいという意味です。快適というのは、エアコンが効いているとか、そういうことだけじゃなくて、人間中心とした人間工学的なもの。クルマとの対話ができて、コントロールしやすい。高性能だけど人間に近い機械にしようという狙いです。

(中略)

上原:NSXは、家に例えると別荘みたいな位置付けだろうと。スタンダードな立派な邸宅。それに対してS2000は山小屋。しかも、現代の山小屋だと。古い旧式の山小屋っていっぱいありますよね、(ケーターハム)スーパー7とかね。でも、もうちょっと快適性を備えた山小屋である。山小屋議論はずいぶんやりました。

また、NSXもS2000の両方とも上下関係がなくて、唯一無二のものを持っている。お互いに主張できる位置付けで両車を作っています。S2000はNSXの弟分じゃあないんですよ。違う価値をお互いに持っている。

(中略)

----:『挑戦』というキーワードでのお話をお聞きしたいのですが?

上原:挑戦という意味でいえば、アルミボディでしょうね。

(中略)

上原:基本的にアルミって鉄と同じ特性なんですよ。ただ、アルミは形状凍結性が鉄の7割程度なので、割れたり破れたりする。そこは工夫すればできるじゃないですか。それから溶接とかは、アルミも鉄も変わらない。ただ道具が違うんですね。溶接に使うトランスとか、スポットに使うガンとかが違う。でもそれも開発していけばいい。つまり、まったくの未知の要素をやるわけじゃないんですよ。できる技術で、どうやって現実的に作っていくか? というものです。もちろん、すごく手間と労力がかかっていますよ。お金もかかっている(笑)。でも夢じゃない。

『頭文字Dの軌跡 挑戦の記』
価格:907円+税
発行:講談社

◆8月14日 『頭文字Dの軌跡 挑戦の記』発売記念トークショーを開催

『新劇場版「頭文字D」Legend1-覚醒-公開記念86“超”夏祭りin Daiba at MEGA WEB』内にて、「国産スポーツカーと5人のレジェンド with 土屋圭市~『頭文字Dの軌跡 挑戦の記』発売記念トークショー~」を開催。GT-R、RX-7、WRX STI、NSX、そして86開発者が勢揃いし、開発秘話を語る。

日時:8月14日 15時00分~16時00分
会場:東京・台場 MEGA WEB 1F、MEGAステージ

《レスポンス編集部》

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