【マツダ魂動デザインへの道】実車と誤差0.1mmのクレイモデルを作成する意味

自動車 ビジネス 企業動向
クレイモデラーによる切削作業
クレイモデラーによる切削作業 全 8 枚 拡大写真

近年、“魂動デザイン”を採用しているマツダデザインは、クレイと呼ばれる粘土を用いて立体的に造形するクレイモデラーが、通常のデザインの前に、形容詞などの言葉を三次元で表現したオブジェを作成することからスタートする。

マツダデザイン本部デザインモデリングスタジオ部長の呉羽博史さんによると、「クレイモデラーは、デザイン専門学校のデザイナーコースやモデラーコースなどから入社してくることが多い。ただし、学校で習う仕事は粘土を削ったり盛ったりするところまでだ」と話す。そこで、「マツダの場合は、入社全員にどのように形を“創って”いくかという哲学を教えていく“道場”がある」という。

呉羽さんはデザイナーとモデラーの違いについて、「ものすごく乱暴にいうと、デザイナーはとにかく新しいものを発想して絵にする。モデラーはどんなに新しい絵だったとしても、それをパッと見てマツダのクルマだと思わせる“マツダネス”のフォルムを創りあげていくという違いがある」と述べる。つまり道場にてマツダネスというものを叩き込まれるのだ。

因みにマツダのデザインの特徴について呉羽さんは、「例えばそれぞれの面を貼り合わせるようなものではなく、内面的なエネルギーや力をひとつの曲面に創っていくような世界だ」と話す。

こういったマツダネスを創りあげるために、モデルを作成する際に用いるクレイと呼ばれる粘土も特別だ。「マツダのクレイモデルと実車との誤差は0.1mm以内が許容範囲だ。実は他の自動車メーカーは1mmから5mmほど差がある」と呉羽さん。

その理由は、「クレイモデルは収縮をするのだ。そうなると1mmから2mmは平気で形が変わるので、そのモデルを計測して鉄板に置き換えて、実車を作ってもナンセンスだ。我々が0.1mmまで作り込めるのはそれに応じた全く収縮性のないクレイを開発して作っているから可能なのだ」と説明。

「つまり、0.3mmとか0.5mmはシャープペンシルの芯の細さ。それよりも誤差なく作り込んでいるのだ。モデラーにここまで作り込むという意識がないと、形も変わってしまうし、何よりも志が落ちてしまう」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「これなら日本人に受ける」BYD初のPHEVワゴン発表に、SNS衝撃「出たら買うのに!」
  2. 「バカ売れするやつだこれ」SNS大盛り上がり! トヨタ『カローラクロス』のGRスポーツ、日本導入は
  3. 「FJクルーザー復活マジかよ!」価格は400万円台? トヨタの新SUV『ランドクルーザーFJ』にSNSが注目
  4. トヨタ『FJクルーザー』復活にSNS盛り上がる…土曜ニュースまとめ
  5. 「待ってたぞダイハツ!」待望の新型『ムーヴ』、130万円台からの価格にも驚きの声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 地域再エネ活用の収益を還元、ホンダ N-VAN e:を茨城県神栖市へ無償提供
  2. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  3. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  4. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  5. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
ランキングをもっと見る