オーストラリア政府、西アフリカからの渡航者を入国禁止に

エマージング・マーケット オセアニア

医療専門家、野党は政府を批判

 西アフリカ3国で蔓延しているエボラ出血熱に対してオーストラリア連邦政府は、「医療従事者が感染した場合の体制ができるまで医療専門家を派遣できない」と決定しており、医療専門家の批判を浴びている。また、世論調査でも回答者の70%が「西アへの医療専門家派遣」を支持している。トニー・アボット保守連合政権は医療専門家や国民の圧倒的な声を無視して医療専門家派遣を拒んでいる。さらにスコット・モリソン移民相が、「エボラ・ウイルスの国内蔓延を防ぐため、エボラ危機が起きている国からの渡航者に対しては一時滞在ビザ発給を停止する」と発表しており、「医学的事実を無視した苛酷な措置」との批判も出、労働党は、「移民相の決定に当たって誰がどのような答申をしたのか政府は明らかにせよ」と要求している。

 西アに医療専門家や軍隊を派遣してウイルス封じ込めと被災住民援護をしているアメリカは同様なビザ発給停止措置を拒否した。また中国は西アに医療専門家を派遣することを宣言している。モリソン大臣は、「移民省、国境警備部は他の機関とも緊密に協力しており、専門家のアドバイスを受けている。これまでに一時ビザ73通を取り消し、また、現在蔓延地域にいる豪永住権保持者47人についてはオーストラリアに入国する前に21日間の隔離措置を科する」としている。

 21日間の隔離措置については、すでに医療専門家が、「21日という発症するまでの潜伏期間中には他人に感染することがないのだからまったく無意味。むしろ、体温その他の症状を頻繁に観察すべき。また、帰国後に21日間隔離されるのでは専門家がボランティアで西アに行くこともためらうようになる。また、蔓延地域に入った人がそのことを隠してオーストラリアに入国するようになればまったく収拾がつかなくなる」などの批判を挙げている。野党労働党のシスルウェイト議員も同様の論拠で政府の措置を批判している。

 オーストラリア政府は蔓延地域に1,800万ドルの支援を発表しているが、現地で治療に当たっている医療専門家は、「欲しいのは金より専門家」と求めており、また、世界的にも、ウイルスの広がりを防ぐには各国が水際で防ぐよりも、西アの蔓延地域で食い止める方が効果的。(NP)
http://www.abc.net.au/news/2014-10-28/opposition-wants-reasons-behind-ebola-immigration-crackdown/5846260

政府、西アからの渡航者入国禁止

《Nichigo Press》

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