【トヨタ MIRAI 試乗】ついに来た新時代、その走りは「じつに普通」…諸星陽一

試乗記 国産車
トヨタ MIRAI
トヨタ MIRAI 全 27 枚 拡大写真

トヨタの燃料電池自動車『MIRAI』が発表された。正式な発表を前にクローズドコースで行われた試乗の印象をおとどけしよう。

ざっくりとした印象は、「じつに普通」というもの。この印象は褒め言葉としてとらえて欲しい。4ドアセダンであるMIRAIにとって、普通という性能はもっとも求められる性能だからだ。

発進するためのプロセスの基本はハイブリッド車と同じ。システムを起動し、セレクトレバーをDに入れてアクセルペダルを踏み込めばいい。発進加速は力強く、3リットルオーバーのスポーツカーなみの加速を感じることができる。

燃料電池車は走るということに関しては電気自動車そのものなのだ。現在、電気自動車といえば、充電して走って、充電して走っての繰り返しだが、燃料電池車はクルマが発電する。じつは燃料電池というネーミングが、そのシステムをわかりにくくしている。燃料電池というのは、燃料発電システムのこと。燃料を燃やすのではなく、化学反応で電気を取り出すことが特徴だ。

MIRAIは水素をタンクに充填することで発電が可能。3分の充填時間で満タンとなり、650kmの走行が可能だという。エネルギー補充と走行距離については、一般的な電気自動車に比べて圧倒的な優位性を誇っているが、インフラ整備はまだまだというのが実情。しかし、電気自動車が出たてのころは、貧弱だった充電器のインフラ整備も今はかなり整っている。この点については今後に期待だ。

ハンドリングについてもMIRAIはごく普通のイメージだが、その内容を突き詰めていくと、かなりしっかりしたものだと感じる。クローズドコースでは、そこそこ攻め込んでいくことが可能だった。サスペションやタイヤといったシャシー関係の性能だけでなく、発生トルクが安定してて、アクセル操作に対する反応がダイレクト感を持ったものなので、クルマの動きをコントロールしやすいという点もある。今回は市販前のプロトタイプ試乗ということでVSCが過敏に反応する場面にも遭遇したが、これは市販までには改善されるという。

MIRAIの市販価格は720万円程度。補助金が200万円程度交付されるので実質は500万円強のプライス。もちろんエコカー減税やグリーン税制の対象車だ。気になる燃料代金だが、これは岩谷産業が1kgあたり1100円で提供するというニュースが流れている。MIRAIは4.3kgの水素で650kmを走行するというので、金額ベースに直すと約5100円(8%の消費税込み)で650kmを走行することになる。100円で走行できる距離は約12.7km、レギュラーガソリンが150円だとすれば、リッター約19kmの燃費に置き換えられる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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