【VW e-up!試乗】e-up! VS i3 、クルマを操る楽しさの表現方法が違う…吉田由美

試乗記 輸入車
VW e-up!と吉田由美氏
VW e-up!と吉田由美氏 全 16 枚 拡大写真

今年は話題のEVが続々登場! なかでもBMW『i3』とVW『e-up!』は対照的で面白い! 両メーカーの考え方の違いや、逆に相通じる部分などがはっきりわかります。

まずは、先に日本で登場したのはi3。すべて新設計で、新素材を使ったり、さらには「i」というサブブランドまで作っちゃったという気合の入れよう。なので見た目、乗った感じで「あっ」と驚く演出がてんこ盛り。

そのなかでも「ワンペダルフィーリング」といって、アクセルを離した瞬間に、回生ブレーキが作動し、同時に強烈に“ググッ”とくる減速感…。それはまるでMT車のエンジンブレーキが極端にかかる感じ。しかし、始めはこの感覚に驚くものの、これも少し乗れば慣れてくるから不思議。そうなると、自分の足加減ひとつでフットブレーキをかけずとも減速できてしまい、まさに足でスピードをコントロールして、足で運転する感覚。

アクセルの代わりにブレーキでスピードをコントロールするとは、まさに新感覚&新ドライブスタイルなのかも。それがi3の魅力のひとつでもある。

BMWが「駆け抜ける歓び」ならば、一方の、同じくドイツの誇る自動車メーカー、フォルクスワーゲンのクルマを操る楽しさの表現方法は、全く違うもの。

まずはすでに発売され、リーズナブルでお洒落なコンパクトカーとして人気の高い『up!』をベースにしたEVがe-up!。もともとEVでの販売も考えて作られていて、e-up!はup!のバリエーションのひとつ。というわけで、e-up!は見た目的には、ガソリンモデルと変わらず、「VW」エンブレムにブルーのカラーリングが加わったりしてるぐらい。

そしてこのe-up!の一番のウリが、シフトレバーでの操作により、回生ブレーキの減速レベルが選べるということ。「D」は普通のドライブ状態で、回生ブレーキは無し。「D1」から「D2」、「D3」と数字が増えるほど減速感は強くなると共にブレーキでの回生量が増え、「B」となると結構強く減速感が感じられ、ブレーキ回生量はMAX。しかし、その違和感はi3ほどではなく、両車を乗り比べたことのある人であれば「まあ強くかかっているな~」と感じられるぐらいなので、乗り物に弱い人でも、乗り物酔いは最小限で抑えられそう。

EVというと、滑らかだけどピューッと勢いよく走り出す加速感や、振動が無くフラットな乗り心地、また、エンジン音が無いので、車内の静かさなどが特徴ですが、e-up!はそこに、回生ブレーキ量が4段階選べるという要素をトッピングしているのが、いかにもVWらしい。

なぜなら「EVはつまらないもの」と思われがちな部分を、まるでMTを操作するかのように、シフトチェンジをすることで、エンジンブレーキのように使いながらクルマを運転する楽しみを残すなんて、ずいぶん“粋”なことをしてくれます。これはやはり、EVといえど「クルマを操作するのは人間」という考えものもと、あえてそういった部分を演出していると考えると、VWというメーカーはもちろん、クルマとの付き合いが古く、クルマの運転に楽しさを求める、欧州の地域性もあるのかもしれません。

ちなみにガソリン車のup!に比べると、車両重量が増えたことや、EVということがあって、変なぎくしゃく感が無くなり、穏やかな乗り心地になってます。

このようにEVの新モデルが続々登場し、バリエーションも充実してくると、EVの社会が一歩近づく…そういう印象を持ったのは私だけでしょうか?

あとは、充電時間がもう少し短くなれば…。せめてFCVと同じように3分ぐらいで充填できるようになると、より嬉しいのですが…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

吉田由美|カーライフ・エッセイスト
短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て2000年に「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、ウェブ、新聞、トークショー、講演会などで広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は1日約20万アクセスの人気を誇る。

《吉田 由美》

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