オンデマンド方式の4WD(ELD=電子式デフロック付き)であること、5~30km/hで有効なシティブレーキコントロール搭載、6速のMT車であることなどが、限定車の『パンダ 4×4』の実利的特徴だ。
文明堂のカステラ巻を連想する(!?)シフトノブ形状のMTは、ささやかな2気筒875ccマルチエアインタークーラーターボの性能を、より活かし切って走れる。出足、低速のスムースさは5速(デュアロジック)以上だし、100km/hは6速なら3000rpmを切るエンジン回転数で効率的に走れる。支点の近いシフトはコクコクとリズミカルに操作できるのがいい。ECOモードをボタンで外せば、メキメキと逞しい走りにもなる。
車高(1615mm)はFFより65mm高く、タイヤは175/65R15。最低地上高の正式なスペックが手元にないが、ロードクリアランスは明らかに余裕があり、FFより高めの着座位置は、優位の状況を悠々と見渡しながらの走りを実現している。車検証上の車重は1130kgだが乗り味もドッシリとしたもので、小さいが安心感のあるクルマの印象。
写真の“タスカングリーン”は限定車専用色だが、4×4専用の内・外観のカラーリング、デザインも大人びていて、とてもセンスがいい。いかような環境、天候にも適応できるし、こんなクルマが手元にあっったら、通年、安心感たっぷりの生活が送れるに違いない…と思った。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている