メール便廃止、利用者の違反リスク防ぎきれない...ヤマト運輸

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クロネコメール便のこれまでの歩み
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ヤマト運輸は22日、1993年から取り扱うクロネコメール便を3月末日の受付分を最後に廃止することを決めた。

山内雅喜社長は廃止のきっかけを、「運送事業者だけでなく、メール便を依頼した利用者が郵便法違反に問われる可能性を防ぎきれないため」と説明した。

信書の送達は、日本郵便が事実上独占していて、これに反して信書を送付すると、主に送付を依頼した利用者が責任を問われることになる。違反者には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられる。

同社が問題にしたのは、信書の定義のあいまいさだ。郵便法と信書便法では「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」と定めらているが、山内氏はこういう。

「同一文書でありながら輸送の段階で『信書』の場合と『非信書』の場合があるなど『信書』の定義は極めてあいまい」で「とくに個人向けの書類については、総務省の窓口に問い合わせても『信書か否か』即答いただけないケースが多発している」

そもそも信書を郵便以外で送ることが、これほどの重い罪に問われることを、利用者自身が知らないこともある。そんな状況で、同社の取り扱うメール便が郵便法違反容疑で書類送検や事情聴取を受けた例が09年以降8件発生した。

同社はメール便の依頼時に「信書ではない」という署名を利用者に促したり、荷受を厳格化するなど社内体制を整えた。併せて総務省の情報通信審議会や郵政政策部会で、誰もが見た目で判断できる外形基準の導入や運送事業者だけが責任を問われる信書規制の改革を訴えてきたが、主張は受け入れられなかったという。

「依然お客さまのリスクを防ぐことができない状態になっている」(同上)

8年続いたメール便サービスが打ち切られた後、同社はそれに続くサービスとして、法人向けには非信書であることが明確なカタログ、パンフレットなどに限定した「クロネコDM便」をスタートさせる。

また、メール便全体の10%を占める個人利用者に向けなどには、宅配便の最小サイズ(60サイズ)よりも小さな新サービスを検討中だ。

DM便などの法人、個人の新サービスは、料金などサービスの詳細は3月以降に発表する。4月1日から全国で取り扱う。

《中島みなみ》

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