【GARMIN Vector S J インプレ後編】サイクルパワーメーターの“廉価版”にあらず、機能と拡張性こそ本質

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取り付け作業は通常のペダル交換と同じ。ただし、左側ペダルにはこのようにペダルポッドを挟んで取り付ける
取り付け作業は通常のペダル交換と同じ。ただし、左側ペダルにはこのようにペダルポッドを挟んで取り付ける 全 14 枚 拡大写真

これまで、左右のペダルに配置されていたセンサーを左側に統一し、高価であったパワーメーターの「価格破壊」を実行したGARMINのニューモデル『Vector S J』。本編では実際に使用し、Vector S Jの実力を試してみた。

◆センサーの取り付けは“ペダル交換”と同じ

まずは取り付けだが、その作業は通常のペダル交換とほぼ同じだ。違うところと言えば、ペダルとクランクのあいだに「ペダルポッド」を挟んで取り付ける。

本機はペダルの取り付け部分の違いで「スタンダード」と「ラージ」があり、スタンダードは厚さ15mm以下のクランクに対応する。シマノ製をはじめ、多くのクランクに対応可能だ。スペシャライズドなど一部の特殊なクランク向けにラージがあり、こちらは厚さ15~18mmのクランクに対応する。

そのほか、本機はビンディングペダルなので、使用するには対応シューズが必要。ペダルはLOOK KeO互換でクリートも付属する。

またペダルポッドは、バッテリーを内蔵した小さなユニットで、ペダルと電気的に接続され、測定したデータをサイクルコンピューターに送る。バッテリーは175時間の走行に対応する寿命があり、一般的なボタン電池(CR2032)なので、ユーザー自身で交換が可能だ。

◆アップグレードで上位機種“そのもの”に、データはウォッチ型デバイスでも閲覧可

Vector S Jは左側だけにセンサーを搭載しているが、ペダルを片方だけ交換するわけにはいかないので、両側とも交換する。右側のペダルはセンサーを搭載しておらず、ペダルポッドも付属しない。

しかし、センサー内臓のペダルとペダルポッドはオプションのアップグレードキットとして販売されており、これを購入することで『Vector J』相当、というより、Vector Jそのものへとアップグレードすることができる。

また、本機はサイクルコンピューターと組み合わせて使用する必要があるが、そのモデルはGARMINの「Edgeシリーズ」にかぎられる。具体的には『Edge1000J』『Edge810J』『Edge800』『Edge510J』『Edge500』の5モデルだ。

ほかにGARMINのウォッチ型デバイスである『ForeAthlete 910XTJ』と『fenix 2J』も対応モデルとしてリストに掲載されている。ウォッチとの組み合わせを常用する人はあまりいないだろうが、トライアスロンなどの競技では有効だろう。

◆基本設定は“ペダリング”だけ

取り付けたらサイクルコンピューターとペアリングする。サイクルコンピューターでパワーメーターを検出可能にして、ペダルを回転させれば認識される。

続いてペダルアングルの調整を行うが、これは乗車して80~90rpm程度でペダリングするだけで完了する。

一度調整すれば、ペダルを再び脱着しないかぎり、繰り返す必要はない。ただし、測定精度を高めるためのキャリブレーションを定期的に行うことが推奨されている。これもペダリングするだけで完了するので、慣れれば走りだしてからの最初の数分を使って簡単に行うことができる。

◆計測機能は必要十分、拡張性が上級・下級機種の壁を取り払った

いよいよ実際に計測してみる。計測できるのは平均パワー、標準化パワー、トレーニングストレススコア、キロジュール、パワーゾーン、それにケイデンスなどだ。平均パワーは任意の計測時間における平均パワー(ワット)で、もっとも基本的な数値と言えるだろう。

一方、標準化パワーはコースや天候などの差によるパワー計測結果の変動を補正し、より現実に近い負荷を算出したものだ。また、ケイデンスも計測できるので、サイクルコンピューターに付属のケイデンスセンサーは不要になる。

一方、センサーを左側のペダルのみとしてことで、省略されたデータも、当然ある。左右のペダルバランス、ペダルスムーズネスなどだ。これらのデータを測定したい人は前述のアップグレードキットを購入するか、最初から購入時にVector Jを選ぶことになる。

しかし、「廉価なVector S Jが初心者向け」で「高価なVector Jが上級者向け」とは一概に言えない。上級者でもペダルバランスなど不要という人も多いだろうから、好みや用途によって選ぶことができると考えたほうがいいだろう。

《山田正昭》

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