【キャデラック CTSプレミアム 試乗】冬が楽しくなる、“ほぼ完ぺき”な高級車…中村孝仁

試乗記 輸入車
キャデラック CTSプレミアム
キャデラック CTSプレミアム 全 20 枚 拡大写真

何でこんな季節に軽井沢で試乗? その真意は行ってみて初めて分かった。新しい『CTSプレミアム』は、リアのエンブレムにCTS4とあるように、オールホイールドライブなのである。てっきりこれが初めての4WDキャデラック日本導入かと思ったら過去にも導入されていた。

【画像全20枚】

それは『セビル』の時代に少量輸入されたそうだが、出来が良くなくてほとんど売れなかったのだという。アメリカは比較的最近までオールシーズンタイヤを装着させてお茶を濁すケースが多く、SUVはともかく、本格的な4WDセダンはなかなか誕生しなかった。しかし近年はほぼ必ず設定があり、勿論キャデラックも例外ではない。

CTSプレミアムはいうまでもなくCTSレンジのトップグレード。自動的に日本におけるキャデラックのフラッグシップであることを意味する。2015年モデルはエンブレムが新しくなっている。従来よりも簡略化され、同時に大型化されたそれが、グリルの中央にでんと構える。

トップグレードの新たな装備といえば、スマートフォンのワイヤレスチャージ機能。Qiという規格によるもので、専用のコネクタ(いわゆるiPhoneケースのようなもの)を取り付けたスマートフォンをセンターコンソールの蓋を開けてゴムマットの上に置いておくだけ。勿論ケーブルはいらない。

これ以外では従来のパーキングアシストが縦列駐車のみならず、並列駐車にも対応したこと。また、クルーズコントロールも新たに全車速対応型に進化した。さらにレーンキープアシストが付いて、車線逸脱をステアリングで引き戻す機構も追加された。その他の各種安全デバイスはほぼフル装備だから、機能面でヨーロッパのライバルを一歩引き離したと言っても過言ではない。

エンジンが2リットル直4ターボということで、トップグレードのモデルとしてはいかがなものかという純粋なる不満も出るだろうが、少なくとも性能面に関してはそれほど悲観する必要はないし、これでダメならしばらく待って最強の『CTS-V』をチョイスという手もあるので、個人的には不満はない。何よりこのクルマ、4気筒にも関わらず実に静かである。Bose製のアクティブノイズキャンセレーションシステムが、かなり効果的に働いているようだ。

雪上ではあまりの雪で撮影がほとんどできず、どうせならターマックのオンロードでも乗ってみたいということで、改めて雪のない路面でも試乗してみたので、その両方のお話をしよう。まず雪道である。新たな4WDシステムはボルグワーナー製のもので、基本はFR。スリップを感知して前輪にトルクを配分するという、いわゆるオンデマンド方式。この種のパイオニア的存在のハルデックス製とどこが違うのかと思ったら、センターデフの構造が異なると説明があった。もっとも、そのハルデックスは今やボルグワーナー傘下だが…。

それはともかくとして、この機構は極めて雪上走行に強みを発揮した。結構な登りも、結構な下りも、そしてタイトなコーナーも全く苦にすることがないし、雪の下が凍っている凍結路面でも、ほとんど車線を乱すことなく走ることが出来る。わざとアクセル開度を大きくすると、リアが滑り出して大きく雪を掻き上げる様がサイドミラーに映し出されたが、スリップした印象はほんの一瞬。すぐさまトルクはフロント側に移動してくれて力強く加速を始める。ただ従順なだけだとつまらないので、トラクションコントロールを切って雪の中を走り回ってみたが、コントロール性は非常に高く、かなりのスリップアングルがついても立て直すことが可能だった。勿論、装着されていたミシュランのスタッドレスタイヤに負うところも大きいとは思うが、クルマの基本性能が高いことも事実である。

オンロードで試した時はたまたま雨。ここでも4WDの威力を発揮したのか、直進性は極めて高かった。雪の中ではあまり明確な差が出なかった走行モード切替を、オンロードで試してみた。ツーリングとスポーツ、それにスノーの各モードを持つが、それぞれ、ステアリングの重さ、スロットルの開き方、シフトタイミングのマッピングなどが変わる。やはりオンロードではツーリングとスポーツに確かな違いを感じ取ることが出来た。とまあ、あらゆる条件下でクルマは完璧に近い。そしてスタッドレスさえ履いていれば、冬が楽しくなること請け合いの高級車だった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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