『CX-3』はマツダのSUVラインアップのなかで抜けていたBセグメントのモデル。基本的には『デミオ』をベースにしていると考えていい。
CX-3の面白いところは日本では1.5リットルのディーゼルターボしか用意しないというところ。グレードは標準のXDと上級のXDツーリングの2種だが、それぞれに2WDと4WD、そしてATとMTを用意すること。ディーゼルのみという設定も面白ければ、今の時代にどんな仕様でもMTが選べるというのもユニークだ。
試乗車はXDツーリング MTの上級装備が装着されたLパッケージ。MT車なのでクラッチペダルを踏み込んでからでないとスタートスイッチは反応しない。クラッチペダルは、適度な踏力を求める。重くもなく、軽くて貧弱な感じもしない。エンジン始動はスムーズ、日本でディーゼル車がたくさん走っていた四半世紀前のディーゼルエンジンを想像してはいけない。始動のフィーリングとしてはガソリンエンジンと同じだ。若干の振動を感じるが、気になるほどではない。それよりも最近はハイブリッド車が増え、システムが起動しているのに何の振動もないようなクルマが多く、このほうがわかりやすくていいな…と思う。なにも振動や音をすべて無くすことが正解ではないはずだ。
クラッチをつなぐと低速からググッと前に引き出される感覚を味わえる。CX-3のエンジンは、低速から高いトルクを発生するので、早め早めのシフトアップを試みれば、低回転でありながら、速度を上げていけるというディーゼルエンジンならではのトルクフルな走りを楽しめる。また4000回転程度まで回しながら加速すれば、かなりスポーティな印象。世界のレースシーンでディーゼルが活躍しているのも納得できるといったところだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。