【日産 エクストレイル ハイブリッド 試乗】闇雲に燃費だけを追求したHVではない…中村孝仁

試乗記 国産車
日産 エクストレイル ハイブリッド
日産 エクストレイル ハイブリッド 全 16 枚 拡大写真

日産『エクストレイル』にハイブリッドモデルが追加された。発売は5月13日だが、それに先駆けて日産のテストコースで試乗した。ただ、ハイブリッドシステムを搭載しただけでなく、多くの部分に改良を加えたモデルだった。

【画像全16枚】

まずはシステムの話からしよう。すでにガソリン車として設定されているMR20DD、2リットル直噴4気筒ユニットに、出力41psのRM31モーターを組み合わせ、システム出力188psとしたもので、ちょうどモーターの出力分だけパフォーマンスが向上したものとなっている。組み合わされるトランスミッションはCVTなのだが、今回はガソリン車ともども、高回転域でステップ変速する制御が加えられているのが大きな進化である。

確かにエンジンそのものは同じなのだが、モーターを搭載することによってスターターが必要なくなり、エアコンもモーター駆動としたことから、エンジン軸からプーリーを介してベルト駆動していたそれら補器類を回す必要がなくなったため、駆動ベルトが無くなっている。

また、低フリクションタイプのオイルシールの採用や対ノッキング性能を向上させるなどの措置が取られているといった具合で、細かい見直しの積み上げによって燃費低減が図られている。一方で、低燃費仕様ではあるもののSUVの走行性能を考慮して、オールシーズンM&S仕様のダンロップ グランドトレックST30タイヤを装着しているあたりは、走りを犠牲にしない開発側の意図が読み取れる。

日産のハイブリッドシステムは、エンジンとモーター、そしてモーターとトランスミッションの間にひとつづつクラッチを組み込んだ1モーター、2クラッチシステム。モーターとエンジンを完全に切り離すことが出来るために、エンジン停止中のフリクションを低減できる。おかげで、モーター駆動時と、エンジンがかかりエンジン駆動となった時の繋がり感が非常によく、普通に走行している限り全くエンジンの始動を感じることはない。

試乗時にはすでにエンジンが温まっていたためか、いきなりモーターによる走行で始まった。メータークラスターに付くハイブリッドパワー計が、半分より右に行くとエンジンがかかる。と言っても注意していないと分からないレベルで、エンジンの断続に関しては極めてスムーズだ。勿論ハイブリッドエネルギー表示機能があり、それを見ていればエンジンが始動したことはすぐにわかる。

試乗したのは4WDモデルの方。と言っても今回は晴天で、しかもテストコースということで4WDの恩恵を受けるチャンスはほとんどなかった。それでもコーナーで少し頑張ってみると、ヨーモーメントコントロールが機能するのか、重心高が高いはずのSUVとしてはかなり頑張れる。これに世界初の機構であるアクティブエンジンブレーキや、コーナリングスタビリティーアシストなどが働くことによって、スタビリティーの高いコーナリングを実現しているようである。

フルスロットルで加速してやると、CVTの場合は往々にしてエンジン回転だけが先に上がり切ってしまい、加速は後からついていくという現象が良く起こったものだ。今、真剣にCVTを開発し導入しているのは主要先進国では日本だけ。CVTはエンジンの美味しいところだけを抽出して使う制御が可能で、燃費が良いとされている。しかし、近年ステップATが大きく進化したことによって、CVTが本来持っていたメリットよりもむしろ前述したデメリットの方が大きいのでは?と感じることもしばしば。

特にスポーティなモデルになると、それは致命的とも思えるのだが、今回エクストレイルに装着されたエクストロニックCVTは、新たにステップ変速制御が加えられている。ストレートで一気に140km/hまで加速した際、それが起きた。つまりエンジン回転だけが先行しそうになると、ステップATよろしく変速制御が加えられるのだ。一般路上では恐らく高速の料金所からフル加速した際などに体験できるものと思われるが、これがあればCVTの嫌な部分はほぼ解消される。

おかげでJC08モードの燃費は20km/リットルと、免税措置が適用される領域まで向上している。加えて、アイドリングストップやエコモードなども装備される。エコモードは基本的にCVTのレスポンスや変速スケジュールなどを制御するというが、エコにしたところで例えば極端に加速が悪くなると言うような不都合は感じられなかった。

今、日本のユーザーはハイブリッドに非常に高い関心があるようで、それがないと購入の検討遡上にも乗せてもらえないというのが実状らしく、各メーカーともハイブリッドのラインナップを増やしている。勿論ハイブリッドでも結構だが、本来はクリーンディーゼルの低燃費と力強い加速感の方が、個人的には乗っていて楽しいクルマに映るし、エコ度合いとしては、ハイブリッドとそれほど変わらない気もする。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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