【GARMIN HUD インプレ後編】「かゆい所に手が届いた」アプリの進化で実用性アップ

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真上から見るとディスプレイの様子がよく分かる。当たり前だが、左右反転したディスプレイとなっている。
真上から見るとディスプレイの様子がよく分かる。当たり前だが、左右反転したディスプレイとなっている。 全 18 枚 拡大写真

ヘッドアップディスプレイ(HUD)をスマホカーナビに応用して話題となったのがGARMINの「HUD 日本版」。今回、専用アプリがバージョンアップして新たな機能が追加されたので、改めて紹介したい。インプレ後編では具体的に、アプリやHUDの使い勝手をレポートする。

◆輝度調整で夜間も快適に使えるようになった

本機で表示するデータは絞りこまれており、次に曲がる方向とその距離、レーン情報、到着予想時刻、それに現在の速度といったところ。曲がる方向は直進と右左折だけでなく、その中間の「右斜め前方」「左斜め前方」「右斜め手前」「左斜め手前」も表示できる。

グリーンの表示はクッキリと見やすく、明るい晴れた昼間でも視認性は問題ない。逆光の時は見難くなるが、これはヘッドアップディスプレイの宿命だ。というより、逆光の時はあらゆるものが見えにくくなるのだから、しかたがないだろう。

前回、本機を使った時には夜間に表示が明るすぎて少し気になった。本機には明るさを感知するセンサーが搭載されていて、自動的に輝度を調整するようになっているのだが、その調整が必ずしも適正ではないようなのだ。こうした小さな不満も、今回のアプリ改良により、輝度を手動で調整することも可能になった。おかげで、夜間でも快適に使用することができるようになっている。

ついで、といってはなんだが、アプリ側の改良で表示内容についてもカスタマイズできるようにしてくれればもっとよかった。到着予想時刻は現在時刻や、到着までの時間に変更できたほうがいい。速度表示については、トンネルにはいったりすると大幅にずれてしまうことがあり、これが気になる時がある。ヘッドアップディスプレイだから速度表示ということなのだろうが、これもアプリ側の設定で別のデータ、例えばトリップメーターなどに変更できるとよかった。

◆アプリの大幅進化でより使いやすく

本機はハードウエアこそ変更がないものの、専用アプリである「マップルナビ for HUD」がバージョンアップしたことにより、大幅に使いやすくなった。前述した輝度の手動調整もアプリのバージョンアップで実現した機能だが、ここではこのアプリの概要から順に紹介していこう。

このアプリはすべてのデータをあらかじめダウンロードして使用するタイプとなっている。iPhoneに2GB程度の空き容量が必要で、インストール時に時間がかかるのが難点だが、使用時には通信が必要ない。通信型のナビアプリのようにパケットを消費しないのは、現在のスマホの料金プランを考えると大きなメリットトといえるだろう。

また、このアプリは通信環境そのものがなくても使用できる。買い替えで不要になった古いiPhoneをナビ専用にするといったことも可能だ。この場合、目的地検索の住所や電話番号による検索は使用できなくなるが、キーワード検索やジャンル検索は可能だ。

カーナビアプリとしての実力はかなり高く、本機を昨年に紹介した時と比べると、別のアプリかと思うほど大幅に進化している。例えば、ルート検索時には「推奨」「一般道優先」「高速道路優先」など5種類のルートを瞬時に選ぶことができるようになった。このルート検索を含めて、操作に対するレスポンスは非常に軽快で、通信タイプのカーナビアプリにはないサクサク感を楽しめるのもいいところだ。

◆トンネルモードやバックグランド動作にも対応

これまでサポートされていなかったのが不思議といえる、バックグラウンド動作が今年のバージョンアップでついにサポートされた。ほかのアプリを使っていても音声案内が継続されるので、本機のヘッドアップディスプレイの表示と合わせて、スマホの画面に頼らずカーナビとして使うことができる。

また、ユニークな機能として、特定のエリアを地図上で指定し、そのエリアを通らないようにする回避エリアの設定が可能になった。例えば筆者の自宅近くには大きなショッピングセンターがあるのだが、休日にはひどい渋滞になるため、用がなければ近寄らないことにしている。こういった場合に回避エリアの設定が使えそうだ。

もう一つ、利便性を向上させてくれたのが、トンネルモードの採用だ。これはGPSの電波が届かないトンネル内でも自車位置が正常に移動していく機能。都市高速によくある、地下にインターチェンジがある道路でも正しくガイドが出来るようになった。ただ、トンネルモードになるといちいち音声でそれを知らせるが、非常に煩わしい。せっかく優れた機能なのに、こういったことで印象を悪くするのはもったいないことだ。

なお、機能アップとは少し違うが、このアプリの最新バージョンには2015年春版の地図が早くも採用されている。今年秋にも地図データのバージョンアップが予定されており、少なくとも今年中は、ほぼ最新の地図を使い続けることができる。

GARMIN HUDはこれらのアップデートで使い勝手が大きく高まったといえる。安価な出費で安全運転をサポートしてくれるデバイスと考えれば、その商品価値は高い。

《山田正昭》

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