【三菱 ラリー復帰】驚くほど乗り心地が良い アウトランダーPHEV…その秘密とは

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三菱 アウトランダーPHEV バハ・ポルタレグレ500参戦車両 シェイクダウンテスト
三菱 アウトランダーPHEV バハ・ポルタレグレ500参戦車両 シェイクダウンテスト 全 13 枚 拡大写真

2015年10月、ポルトガルで開催される「バハ・ポルタレグレ500」というクロスラリーに参戦することが決まった三菱『アウトランダーPHEV』。その参戦マシンのダートコースでのシェイクダウンテストが6月25日、愛知県の池の平ワンダーランドで行われた。

ドライバーを務めたのは「バハ・ポルタレグレ500」で監督兼ドライバーとなる三菱自動車の増岡浩選手。貴重なテストの合間になんとコ・ドライバー席に同乗させてもらえるという幸運に恵まれた。

ヘルメットを被り、ロールケージが張りめぐらされたコ・ドライバー席に潜り込む。しっかりと硬いクッションを持つバケットシートに身体を押し込み、乗用車の2倍以上はあるだろうという幅の5点式シートベルトを締め上げる。どう考えても不穏な雰囲気。待ち構えているのは大きなギャップやジャンプ台のあるダートコース。しゃべったら舌を噛みそうだ。

コースに向けて坂を下っていくと、思ったよりも乗り心地はいい。コースへ入り、スピードが一気に上がった。拍子抜けである。大きく上げられた地上高が生み出す、たっぷりとしたサスペションストロークはびっくりするほどいい乗り心地を実現している。このラリーカーに乗る前に、レンタカーの『デリカD:5』でコース内を移動したが、そのときの5倍は乗り心地がいい印象だ。

単純に柔らかいだけでなく、非常にフラット感のあるセッティング。それでいてコーナリングはターンインから立ち上がりまで、よどみなくしっかりとしていて、無理なく素直に曲がる。サスペションをストロークさせて、タイヤをしっかりと路面に接地させてコーナリングしていく。S-AWCの助けもあり(もちろん増岡選手の神の手ドライビングがあるからこそだが)、コーナリングは素直で速い。

パワートレインがPHEVである、ということも当然これに寄与しているだろう。特徴的なのはサウンド。もちろん市販車ほどの静粛性ではないものの、いわゆるラリーカーと比べればずっと大人しい。また、アウトランダーPHEVの特徴でもあるが、エンジンは発電に使われることもあって、サウンドのトーンがほぼ一定なのである。これが安定的な走りを感じさせる一因にも思えた。

同乗試乗終了後、エンジニアでチームマネージャー兼テクニカルディレクターの田中泰男氏(開発本部 EV要素研究部エキスパート)に「びっくりするくらいに乗り心地がいい」と伝えると、田中氏は「そうでしょう」と答えてくれた。

----:この乗り心地のよさはどこから生まれるのですか?

田中:まず、車高を思い切って上げたこと。それとトレッドを広げたことですね。オーバーフェンダーを見てもらえば分かると思いますが、トレッドはかなり広げています。

----:タイヤが大きくなって車高が上がっているだけでなく、全体としてアップしているのですね 何センチアップになるのですか?

田中:仕様によって地上高はかなり上下します。アジアクロスカントリーラリーではわだちも深いので、かなり車高をアップしますが、ポルトガルの「バハ・ポルタレグレ500」では、それほどアップしないでも走れると思います。悪路走破性はかなりアップしています。2013年、2014年のアジアクロスカントリーラリーでは、難しいコースをキャンセルしましたが、今年はオンコースで完走することが目標です。

----:たしかにアジアクロスカントリーラリーの、あのわだちや穴は日本の常識では考えられないものですものね。パワートレイン系はどんな仕様なのでしょうか?

田中:パワートレインはもちろんチューンアップしてありますが、あくまでも市販車で使われているものをベースとしたチューニングです。具体的な数値は言えませんが…。

----:ポルトガルについてはどのような思いをお持ちですか?

田中:ポルトガルはコースを経験していませんし、相手がどんな感じなのかも一切分かりません。しかし、我々はしっかりと完走してヨーロッパにPHEVの素晴らしさをアピールしてきたいと思っています。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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