【ジャガー XF Rスポーツ 試乗】これほど確かなチューンはない…桂伸一

試乗記 輸入車
ジャガー XF Rスポーツ
ジャガー XF Rスポーツ 全 8 枚 拡大写真

見た瞬間身が引き締まる思いがした。100台限定の希少な“XFRに乗る!”と錯覚したからだ。というくらい、見た目の雰囲気はV8 510ps!! 最強の『XFR』と見まがう。

正式には「XF Rスポーツ」の名称だが、XFRバリのスタイリングを持つ迫力と存在感とは裏腹に、乗るとこれぞ日本の道路環境にフィットした丁度の良さがある。

エンジンは2リットル直列4気筒ターボから240ps/340Nmのパワーとトルクを発生。アクセルを深く踏み込む!! というシーンは現実に一日のうちに何度もない。このエンジンのように、アクセルに軽く足を載せていれば、街の流れをリードできる余裕の持ち主であれば、それで十分ということだ。

0-100km/h加速タイムは7.9秒!! ウチのカミさんが乗るなら、コレでも速過ぎるくらいで心配になるが。例えば、高速道路の合流や、危険を回避する加速のための瞬発ダッシュ力は必要だ。なので、低速はギア比を加速性に、高速は燃費に効くギア比に設定した8速ATの組み合わせにより、このエンジン特性を上手く引き出している。もちろん巡航走行では静粛性に優れた快適な空間移動。

タイヤは18インチか、オプションの19インチから選べる。20 インチを履くXFRとはこの足元が、見た目も含む最大の違い。

大径ホイールがスポーツサルーンらしくて迫力のXFRだが、プレミアムサルーンらしい乗り味という点では、XF Rスポーツが履くタイヤの偏平率とサイズが丁度いい印象。

タイヤが縦に撓む特性も巧みに使い、硬いが角のない滑らかに衝撃をいなすタイヤ特性と、イギリス流ネコ脚、つまりしなやかな足の動きを意味するサスペンション特性が見事にマッチして、ジャガーらしい乗り味とスポーツハンドリングと安定性を兼ね備え、XF Rスポーツの個性を上手く引き出しまとめている。

“ボムッ”と空気を圧縮するように閉まるドアの開閉感ひとつとっても上質な薫り。どこか温かみのある落ち着いた室内の雰囲気など、使い勝手の良さも日本人気質にはぴったりではないだろうか?

素顔のままで、よりも少し、いや最強モデルに準じる姿カタチだが、性能的には快適に。

個人でカスタマイズする基本の部分をメーカーが純正でまとめた1台だ、これほど確かなチューンはないと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマーティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年の今年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。

《桂伸一》

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