若者の知恵と日本の技術で世界に挑む…工学院大学の新型ソーラーカー

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工学院大学の新型ソーラーカー「OWL」
工学院大学の新型ソーラーカー「OWL」 全 15 枚 拡大写真

工学院大学は7月24日、「ブリヂストン ワールドソーラーチャレンジ2015(WSC2015)」へ参加する新開発のソーラーカー『OWL(アウル)』を公開した。これはコンセプト立案から設計、製作まで、開発作業のほとんどすべてを学生たち自身が手がけている。

WSCには3つのクラスが設定され、OWLはそのうち前回大会(2013年)に新設された「クルーザークラス」にエントリー。このクラスは4輪で2名以上の乗車が可能なキャビン空間を必要とする。また中間地点にある街、アリススプリングスでコンセントから充電できるのが特徴だ。

このほかに賞典を争うクラスとしては、4輪1人乗りの「チャレンジャークラス」、過去に製作された1人乗り車両で3輪もOKの「アドベンチャークラス」がある。この2クラスは「プラグイン充電」することができない。

チャレンジャークラスとクルーザークラスの車体寸法は全長4.5m以下、全幅1.8m以下。またソーラーパネルの面積は6平方mまでとなっている。複数人乗車が可能なキャビン空間を持つこと、そしてプラグイン充電が可能ということから、クルーザークラスはもっとも乗用車に感覚が近い車両といえる。

OWLの車体寸法は全長4500×全幅1800×全高1000mm。ソーラーパネル面積も6平方mと、レギュレーションで許される最大の数値になっている。乗員は2名だが、監督を務める濱根洋人准教授は「当初は4人乗りで検討していた」という。

クルーザークラスは単に速ければいいというものではなく、走行時の乗員数やプラグイン充電量などの要素を計算した得点で順位を決める。「前回大会ではクルマとしての実用性の高さが高得点につながるレギュレーションだったため、4人乗りを計画したのです」と濱根准教授。

しかしレギュレーションが改定され、スピード重視の計算式に変更されたことを受けて、2人乗りに変更したのだとか。

OWLは車体中央に巨大なトンネルを持つカタマラン(双胴船)形のボディを持つ。左右それぞれのポンツーンに前後タイヤと乗員空間、バッテリー等のメカニズム収納スペースがあり、それがルーフで繋っている。

なおOWLという車名は、開発時のボディ形状がフクロウに似ていたことと、チームの知恵を結集した車両という意味を込めて、知恵の象徴であるフクロウの英語名をそのまま車名にしたのだとか。

OWLはデザイン提案だけでなく、車体設計や流体解析などを含む開発作業のほとんどすべてが学生自身によるもの。センタートンネルはベンチュリ効果が発生する形状で、ルーフは前面投影面積を減らすためにダブルバブル形状が採用されるなど、空力を意識したディテールが与えられている。

ボディ素材はCFRPで、単体ではわずか55kg。東邦テナックスとサカイオーベックスが共同開発した厚さ0.06mmという極薄超軽量織物が採用されている。設計やボディ製作ではジーエイチクラフトが支援した。

タイヤはブリヂストンのエコピア オロジックを採用。このほか駆動用のインホイールモーターはミツバ、セラミック製ベアリングはNTN、ポリカーボネートの真空成形フロントウィンドウは植木プラスチックといったように、30社を超す日本企業の先進的な技術を積極的に採用しているのもOWLの特徴だ。

《古庄 速人》

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