【VW ゴルフ R ヴァリアント 試乗】かつて日本にもこんなワゴンが存在した…諸星陽一

試乗記 輸入車
VW ゴルフRヴァリアント
VW ゴルフRヴァリアント 全 8 枚 拡大写真

『ゴルフ』のワゴンモデルであるヴァリアントに、280馬力の2リットルターボエンジンを搭載、6速DSGと4WDを組み合わせたモデルが『ゴルフRヴァリアント』だ。

しっかりとしたバケット形状を持つレザーシートに身体を収めて、アクセルを踏み込むとまるでV8エンジンのように“ドロドロ”という音を響かせながら、怒濤の加速をするゴルフRヴァリント。そのままアクセルを踏み続けると、シフトアップする際に“バシュ”と轟音を響かせる。その加速の様は暴力的でもある。

走行モードを選ぶことができるドライビングプロファイルで「レース」を選ぶと、シフトアップのタイミングはレッドゾーンギリギリの6500回転付近になり、足まわりはガッシリと固く、ステアリングフィールはドッシリと重くなる。この状態でワインディングを走れば気持ちよさはさらに向上。ガンガン攻めたくなる走りを手に入れることができる。

かなり高い走りのパフォーマンスをもちながら、ドライビングプロファイルを切り替えることでその性格が一変するところがRヴァリアントのいいところ。コンフォートを選んでやれば、さっきまでの走りがウソのようなおだやかな走りを手に入れることができる。家族はもちろん、仕事関係の人を乗せて移動しても大きな不満はでないだろう。そしてガッシリと真っ直ぐ走る高い直進安定性は、長距離移動をものともしないポテンシャルを秘めている。

そして駆動方式は4モーションと呼ばれるフルタイム4WD。今回の走りではコーナーの立ち上がりでその恩恵を受ける程度(と言ってもその恩恵は大きいが)だったが、冬場の走行では圧倒的に安全性と安定性が向上するはず。ただ、速いだけでなく、安定して速いというところがゴルフRヴァリアントのいい部分だ。

そういえば、国産車でもスポーツワゴンが華やかな時代があった。『レガシィ』、『カルディナ』、『ステージア』…どのクルマもパワーを競い、ハンドリングを競った。ただ、今のように走りの性格を大きく変更できる手法がなかったので、スポーツワゴンはスポーツワゴンでしかなかった。ゴルフRヴァリアントはスポーツワゴンでありながら、コンフォートワゴンである。そこがかつての国産ワゴンと大きく異なる点だといえる。

現在、唯一のライバルと言えるのはレヴォーグの2リットルモデル。レヴォーグもSIドライブで走行モードを変更できるが、ゴルフRヴァリアントはダンパー減衰力などまで変わるのが大きな違いといえる。ただし価格は559万円(車両本体)とレヴォーグ2.0GT-Sよりも約200万円高い設定だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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