Facebookでタイ王室批判した男性に禁錮30年の実刑判決

エマージング・マーケット 東南アジア

【タイ】タイの国王夫妻と王位継承者に対する批判中傷を禁じた不敬罪の裁判が6日と7日、タイ軍法会議で行われ、北部チェンライ県のタイ人男性(49)に禁錮5年、西部カンジャナブリ県出身の40代のタイ人男性に禁錮30年の実刑判決が下った。

 チェンライの男性は道路沿いに設置された国王の肖像画を破損したとされる。

 カンジャナブリ出身の男性はインターネットの交流サイト、フェイスブック(FB)にタイ王室を批判するコメントを6回投稿したとして、罪に問われた。軍法会議は刑期を投稿1回につき10年、計60年とした上で、被告が罪を認めたため、半分の30年に短縮した。この裁判で、法廷に記者が入ることをは許されなかった。

 昨年5月に発足した軍事政権は不敬罪の裁判を民間人の場合も軍法会議で取り扱っている。通常と異なり、軍法会議は一審制で、控訴が認められない。

〈タイの不敬罪〉
 タイ国王夫妻と王位継承者への批判を禁じたもので、違反した場合、1件につき最長15年の禁錮刑が科される。人権保護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW、本部ニューヨーク)によると、不敬罪の裁判は1990年から2005年にかけ、年4、5件程度だったが、反王室のイメージがあるタクシン元首相派と特権階級を中心とする反タクシン派の抗争が激化した2006年以降は累計数百件に上る。不敬罪の容疑者のほとんどはタクシン派で、逮捕後、保釈を認められないまま、実刑判決を受け、服役するケースが多い。
 昨年5月のクーデターでタクシン派政権を倒し発足したプラユット軍事政権は政治集会、抗議活動を禁止し、人権、民主主義などに関するイベントを中止させてきた。また、不敬罪による取り締まりをさらに強化し、それ以前の民選政権下で問題とされなかったケースも遡って摘発し、短期の裁判で重刑を科している。
 今年に入ってからの主な不敬罪の裁判では、▼2月:2013年にタイ国立タマサート大学のキャンパスで演じた劇で王室を批判したとして、大学生のタイ人女性(24)と政治活動家のタイ人男性(27)にそれぞれ禁錮2年6カ月の実刑▼3月:2014年にトイレの壁に王室批判の落書きをしたとして、タイ人男性(67)に禁錮1年6カ月の実刑▼3月:2014年にインターネットの交流サイト、フェイスブックに王室を批判するコメントや写真を投稿したとして、実業家のタイ人男性(58)に禁錮25年の実刑▼7月:王室を批判するビデオクリップを作成、配布したとして、タイ人男性6人、女性4人に禁錮3―5年の実刑――といった判決が下っている。被告は民間人であるにも関わらず、裁判はいずれも軍法会議で行われた。軍法会議は一審制で、控訴が認められていない。

FBコメントで30年、肖像画壊し5年 タイ不敬罪で2人に禁錮刑

《newsclip》

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