対米ドル為替で通貨リンギは続落し、7日には一時1米ドル=4.3405リンギまで下落した。午後5時時点のレートは1米ドル=4.3300リンギだった。ザ・スター、ザ・サンが報じた。
1997-98年のアジア金融危機以来の低値となっており、世界的な石油価格下落やマレーシアの貿易黒字縮小への懸念が影響した。
7月の貿易黒字は23億8,000万リンギとなり6月の79億8,000万リンギから大幅に減少した。輸出部門では電気・電子製品への需要が3.5%増加したが貿易黒字の縮小には貢献しなかった。
8月28日時点における外貨準備 高は3,577億リンギとなり、8月14日時点(3,564億リンギ=暫定値)から0.36%の増加 となった。 ブレント石油は1バレル=45.45米ドル台まで値を下げており、マレーシアなどの原油輸出国に影響が及んでいる。
ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)の代表的指数、FBM KLCIは1,582.85ポイントとなり、6.31ポイント下がった。米国の雇用統計が発表され、連邦準備制度理事会が9月にも金利を引き上げるとの観測が強まっており、中国経済の悪化への懸念が深まっていることから、リンギだけではなくインドネシア・ルピアなどアジア新興国の通貨は軒並み下がっている。
メイバンク・グループの外為アナリスト、クリストファー・ウォン氏は、中国経済の減速や原油価格の下落により投資家の心理が冷え込んでいるとコメントした。また、Amバンク・グループのストラテジスト、ウォン・チーセン氏は市場では恐れが広まっており今後への不安感が市場を覆っているとし、リンギにも影響を与えていると述べた。
クナンガ・リサーチは報告書の中で、中央銀行バンク・ネガラは積極的に介入することはなく米国の金利引上げまではリンギ下落への圧力は留まるとの予想を示した。アライアンス・リサーチのマノカラン・モッタイン氏は輸出について、減速する可能性があるが輸入は今年末まで順調な状況が続くと述べた。