ジープのラインアップのなかでもっともコンパクトなモデルとして登場した『レネゲード』。その4WDモデルに与えられたグレード名が「トレイルホーク」だ。
ボディはフレーム式ではなくモノコック。サスペションは4輪ストラットの独立懸架方式を採用している。FF系がリヤのロアアームにプレス材を使うのに対し、4WDモデルはムクの棒材とするなど、けっこう本気さがうかがえる。
搭載エンジンは2.4リットルの直列4気筒自然吸気。組み合わされるミッションは9速と段数こそ多いもののその機構はコンベンショナルなAT。4WDはセレクテレインと呼ばれるもので、基本はスタンバイ4WDとなるオートモード。そのほかに、スノー、サンド、マッド、ロック(岩)の4モードを持つ。さらに前後トルク配分を固定するロックモードと、20対1のギヤ比を実現する4WDローモードも用意され、高いクロカン性能を実現している。
エンジンのスペックは175馬力、23.5kgmで最大トルク値はFF系に搭載される1.4リットルターボと同じ。ただし、発生回転数はこちらの自然吸気のほうが高い。それをカバーしているのが9速のミッションだ。低いギヤ比でトルクをアップしタイヤに伝えることと、9速という多段化によってスムーズな走りを実現している。FFのようなスッキリした加速ではないが、SUV…というよりはクロカン4WDらしいドッシリとした加速感が楽しめるのがいい部分。
ハンドリングはFFに比べるとゆったりとしたもの。タイヤサイズは同じだが、FFがオンロードよりのタイヤを採用しているのに対し、トレイルホークはグッドイヤーのベクター4シーズンというM+S(マッド&スノー)タイヤを履く。このベクター4シーズンはちょっとした雪くらいは走れてしまうくらいにスノー性能が高いタイヤ。ゆったり感のある乗り心地はこのタイヤと、FFよりも30mm高い車高から生み出されるのだろう。FFモデル同様に車線逸脱警告のレーンセンスが装着されるが、その制御の強さは4WDのトレイルホークのほうがきついように感じた。
トレイルホークはレネゲードにもジープのDNAが受け継がれていることを主張するモデルと言っていい。それはサスペションアームの設定や4WDシステムだけでなく、牽引フックやフルサイズのスペアタイヤなど、さまざまな部分に現れている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。