GMジャパンが「Apple CarPlay」を全ラインナップに搭載、その理由とは?

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キャデラックCTS-Vにインストールされた「CarPlay」のデモ
キャデラックCTS-Vにインストールされた「CarPlay」のデモ 全 15 枚 拡大写真

GMジャパンは8日、日本市場で販売する「キャデラック」「シボレー」両ブランド全車に「Apple CarPlay(CarPlay)」を標準装備すると発表した。2016年のラインアップより順次搭載される。日本国内で「CarPlay」を標準装備するのは国産/輸入車を通じて初めてとなる。

CarPlayの魅力は、iPhoneを車内のUSB端子に接続するだけでiPhoneの機能が車内ディスプレイを通して操作可能となること。iPhoneの純正マップを使ったナビゲーションの他、iPhone内の音楽再生はもちろんのこと、電話やメッセージ、Podcastなどが利用できるのだ。このCarPlayを、キャデラックでは「CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)」、シボレーでは「シボレーMyLink」という統合制御ナビゲーションシステムのディスプレイ上で表示する。

CarPlayで見逃せないのはiPhoneに標準搭載の音声認識機能「siri」がそのまま使えることだ。siriは自然言語で処理され、日常会話するようにコマンド入力でき誰でも簡単に操作できてしまう。そのため、ドライバーは画面を見なくても音声コマンドによる操作ができるようになり、たとえ運転中であっても安全に操作が可能となるのだ。

たとえばsiriを起動する時は、ステアリング上にある音声通話用ボタンを長押し。起動したらドライバーは対話式で実行したいコマンドを告げればいい。目的地は住所や電話番号などから設定でき、電話連絡先も登録名を告げるだけで相手を探し出す。この日のデモはドアを開いて行われたため、外部ノイズが混じって本来の認識力が試せなかったようだが、それでも入力の簡便さは十分に確認できた。

ところでCarPlayが発表されたのは2014年3月のこと。発表直後には日本も含め、世界中の主要自動車メーカーがCarPlayに賛同する意向を示したが、これまで日本国内では標準搭載とする車種が現れなかった。その理由について考えを訊ねるとGMジャパン社長の石井澄人氏は「難しい質問だが、お客さんに対するアピールが不足していたのだと思う。個人的には非常に使いやすく、今後は普及が進んでいくと考えている」とコメントした。

ただ、CarPlayで見る地図はかなりシンプルな印象で、これまで日本のユーザーが見てきたハイスペックな地図と比べる物足りなさは残る。さらにCarPlayの渋滞情報は日本で一般的なVICSには非対応だ。検索した対象地の信頼性もイマイチだし、道路の高低差認識でも純正カーナビに比べその能力で見劣りする。

こうした事情を踏まえ、GMジャパンはCarPlay搭載に合わせ、従来オプション扱いだったパナソニック製ナビゲーションをあえて標準装備とした。その分だけ価格アップとはなるが、「ユーザーがiPhoneを持っていない可能性があるし、使い慣れたナビゲーションの方が使いやすいという人もいる。そのあたりを考慮した」とGMジャパンは話す。

一方、CarPlayの対極勢力として存在する「Android Auto」には未対応とした。GMジャパンによれば「準備はしているが、具体的な対応時期は未定」という。ちなみに「CUE」「MyLink」を納入しているパナソニックは2015年1月、米・ラスベガスで開催されたCESで両対応のシステムを発表済みである。それを踏まえれば、そう遠くない時期に対応を果たすものと予想される。

《会田肇》

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