【日産 リーフ 試乗】EVのなかでもっとも自然な感覚、新型はより引き締まった乗り味に…片岡英明

試乗記 国産車
日産 リーフ
日産 リーフ 全 8 枚 拡大写真

日産『リーフ』は世界で初めて大規模な量産体制を整えて送り出された電気自動車(EV)だ。

2015年秋に開催された東京モーターショーでは一充電走行距離を280kmまで延ばし、エマージェンシーブレーキや車線逸脱警報を標準装備した新型をお披露目している。デビュー時の航続距離は200kmだった。が、2012年に228kmに延長し、今回の商品性改良では280kmを実現している。従来モデルは、エアコンを使って走れる実質の走行距離は150kmほどだった。

今回は、同じ条件で200km前後は走れるのだから、驚くほどの進化だ。EVを所有する経験者としては、この航続距離ならほとんどのユーザーは満足できる、と太鼓判を押せる。ちなみに新型バッテリーを搭載したリーフは追加設定だ。従来からのリーフも並売の形で売り続ける。

駆動用のリチウムイオンバッテリーは、従来モデルが24kWh、これに対し新型バッテリーは30kWhだ。6kWhの容量アップと効率を高めたことにより航続距離は52km増えた。ステアリングを握る前に、改良によってドライブフィールがマイルドになり、つまらなくなったのでは、と心配だったが、これは杞憂に終わっている。走行フィールは従来モデルと大きくは変わっていなかった。モーターは低回転から2.5リットルクラスのガソリンエンジンを上回る太いトルクを発生し、力強い加速を見せつける。

エンジン搭載車との大きな違いは、トルクの立ち上がりが驚くほど俊敏なことだ。だから鋭い瞬発力と痛快な加速を、誰にでも簡単に引き出すことができる。しかもクルージング時だけでなく加速したときも静かだ。急速充電に必要な時間も従来の24kWhバッテリー搭載車と変わらない。新型も30分で約80%の充電が可能だ。

フットワークも軽やかである。フロア下にバッテリーを敷き詰めているため、重心が低い。これが一体感と安定感のある走りを生み出している。ハンドリングは素直で、街中はもちろん、ワインディングロードを走ってもコントローラブルだ。リーフは適度な重量感が上質な乗り心地を生んでいる。が、最新モデルは従来モデルより少しだけスポーティ方向に振ったようで、以前より引き締まった乗り味と感じられた。ただし、荒れた路面に乗り入れたときでも足の動きは滑らかだ。

リーフはEVのなかでもっとも自然な感覚だからEVビギナーにも運転しやすい。最新モデルは優れたコントロール性と上質な乗り心地にさらに磨きがかけられ、魅力を増した。快適装備、安全装備ともにクラスレベルを超えている。サイド&カーテンエアバッグと挙動安定制御のVDCに加え、緊急自動ブレーキのエマージェンシーブレーキも標準装備だ。また、効率のいい電気式エアコンやシートヒーター、ステアリングヒーターなど、快適性を高める装備にも抜かりはない。クルーズコントロールも装備されているが、追従式でないため心もとないのが数少ない不満にあげられる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

片岡英明│モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員

《片岡英明》

片岡英明

片岡英明│モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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