東京都の東西を結ぶ甲州街道(国道20号)と東八道路(都道14号)が、玉川上水沿いに計画されている放射第5号線整備などによって、いよいよ直結する。2月下旬、その接点となる牟礼橋周辺を歩くと、その直結ルートや自然保護施策が見えた(写真32枚)。
現場は三鷹市牟礼と杉並区久我山の境界付近、国学院久我山中学校・高校の北側エリアにある人見街道・牟礼橋の一帯。東八道路はここを起点として府中方面へと伸びる道だが、その東端の400mほどが未整備となっている区間だ。
この未整備区間「三鷹都市計画道路3・2・2号(東八道路)」と、玉川上水沿いに整備される東京都市計画道路放射第5号線の工事が同時にすすめられ、完成することで、東西方向交通の分散、渋滞緩和、走行速度向上、玉川上水の保全、緊急車両の円滑な通行、災害時の避難路の確保などが期待されるという。
放射第5号線の整備は、玉川上水の流れや緑地をできるだけ保ちながらすすめられ、玉川上水沿いの緑道、電気・ガス・水道などのライフライン(埋設管)、築堤コンクリート、車道・歩道の舗装、環境施設帯の緑化、歩道・自転車道という順で整備される。環境施設帯(10m)、車道(7.5m)、玉川上水を含む都市計画緑地(25m)の都市計画範囲で、玉川上水の中心から外側へと工事がすすむかたちだ。
地図上では、既存の人見街道・牟礼橋で東八道路と放射第5号線が接するというイメージ。Google EarthやGoogle マップで現場を眺めると、そのルートがおおよそつかめる。その牟礼橋から玉川上水を眺めると、その流れを守るためのものか、アルミ製のパイプが川底に敷かれていた。
また、東八道路方を見ると、車道は未整備だったが、歩道の一部が姿をあらわしていた。人見街道と東八道路の分岐点となるポイントには、旧人見街道沿いにあった庚申供養塔の石碑が立つ。この石には、「右はこれより国分寺道、左は府中道」と刻まれていることから、古くから国分寺方面の人見街道、府中方面の東八道路に似た道があったと推察できる。
牟礼橋の架け替えは、史跡・遺構などの調査後に実施。橋のたもとにある「ケヤキの大木」(標高21.5m)は、樹木医の立会いのもと根系調査が行われ、道路工事に先行して土壌改良工事を実施、現地保存される。
東京都などは、この事業完了について「2018年3月ごろ、完成する予定だ」と話していた。玉川上水のほとりをゆっくり歩ける緑道や、甲州街道のバイパス的役割を果たす2車線道路などができあがるのは、2年後の春だ。