クラリオン『Full Digital Sound』の可能性を徹底検証…その3 サウンドプロセッサーの実力

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ますます話題沸騰中のクラリオン『Full Digital Sound』。その利点と可能性を徹底検証! Part.3 “サウンドプロセッサーの実力”
ますます話題沸騰中のクラリオン『Full Digital Sound』。その利点と可能性を徹底検証! Part.3 “サウンドプロセッサーの実力” 全 10 枚 拡大写真

今、もっとも注目を集めているカーオーディオ・システムの1つ、クラリオン『Full Digital Sound』。この期待の大物について、その先進性の中身を連載で掘り下げている。当回は、音楽信号処理をつかさどる“サウンドプロセッサーの実力”について、深く切り込んでいく。

これまでの記事では、クラリオン『Full Digital Sound』における注目点として、“フルデジタル”であることによってもたらされる恩恵、つまりは“高音質&省電力”についてと、システム的な“汎用性&発展性”について検証してきた。それらに加えてもう1点、注目すべきポイントがある。それは“サウンドプロセッサーの調整能力”だ。

カーオーディオがここまで発展したのは、デジタルシグナルプロセッサー(DSP)の発達があったからこそでもあるのだが、『Full Digital Sound』では、その部分もさらに磨き込まれている。

何がどのように進化しているのか、開発者の方々にじっくりとお訊きしてきた。取材に対応してくださったのはこれまでの記事と同様に、クラリオン 技術開発本部 コア技術開発部 音響システムGに所属する、岩崎 豊さん、石川貴夫さん、坂根圭太さん、武藤 慧さん、中島文彬さんの、計5名のエンジニアの方々だ。

■クラリオン独自の伝統的技術と革新的技術とを融合させて、『Full Digital Sound』は完成された。

ところでクラリオンはかつて、ハイエンド・アンプレスセンターユニットの名機、“9255シリーズ”を擁していた。それらは多くのカーオーディオフリークたちから高い支持を得ていたのだが、その1つである“DRZ9255”にも、高度なDSPが搭載されていた。今回の『Full Digital Sound』には、その技術が活かされているのだろうか。

岩崎「もちろん活かされています。『Full Digital Sound』の“Z3 フルデジタルサウンドプロセッサー”では、入力される音楽信号を96kHzにアップサンプリングしますが、それはまさに、“DRZ9255”に搭載されていた技術です」

石川「ちなみに岩崎は、その“9255シリーズ”の初代モデルから設計に関わっていたんです。その事実においても『Full Digital Sound』は、“9255シリーズ”の直系だと言えますね(笑)」

坂根「クラリオンは、デジタルチューニングをいち早く取り入れたブランドの1つです。今やハイエンド・カーオーディオにおいて不可欠な機能となっている“タイムアライメント”も、“9255シリーズ”の前身である、93年に発売した“ADDZEST PRO”にすでに搭載されていました。そこから脈々と培ってきた技術が、『Full Digital Sound』にはしっかりと注入されているんです」

なるほど『Full Digital Sound』とは、クラリオン伝統の技術と革新的技術との融合で生まれたシステムでもある、というわけだ。

さて、そのDSP技術は『Full Digital Sound』となり、どう進化しているのだろうか。

武藤「1つ目の進化ポイントとして、スマートフォンやタブレット端末でコントロールできることを挙げたいですね。“Z3 フルデジタルサウンドプロセッサー”と端末をUSBケーブルで繋ぐことで、リスニングポジションに座ったまま、音を聴きながら手元で調整可能です」

中島「操作性の高さにも自信を持っています。直感的に扱えるんです。指でなぞることでイコライザーカーブを描けたり、ドラッグやフリック操作でも扱え、操作感はとても快適です」

では、機能面ではどうなのだろうか。

武藤「ハイエンド・カーオーディオユニットとして、トップクラスのスペックであると自負しています。まずイコライザーですが、通常のイコライザーでは隣接するバンドとの干渉が起こります。例えば1kHzを持ち上げたとき、その前後の周波数帯もそれに影響されて持ち上がってしまうんです。しかし高精度のFIRフィルターを用いた当システムでは、それが起こりません」

岩崎「通常のイコライザーでは隣接するバンドとの干渉を考慮しながら調整する必要があるのですが、“Z3 フルデジタルサウンドプロセッサー”ではその必要がないのです」

石川「またイコライザーは、各chごと個別に調整することが可能です。“ch独立31バンド”、というわけです」

■独自の音響テクノロジー“Intelligent Tune”の機能も多彩に搭載。

その他の調整項目に関しては、どうなのだろうか。

坂根「タイムアライメントは、1ステップ0.7cm刻みで調整できます。十分な細かさが確保できていると考えています。クロスオーバーのスロープは、最大で−72dB/octまで選択可能です。相当に急峻なスロープも選べますから、思いどおりにサウンドをコントロールしていただけるのではないでしょうか」

ところでクラリオンは、独自の音響テクノロジーである“Intelligent Tune”を持っている。『Full Digital Sound』ではそれらも搭載されているのだろうか。

中島「イコライザー、タイムアライメント、クロスオーバーを詳細に調整できますので、“Intelligent Tune”のすべてを搭載する必要はないのですが、以下の機能は『Full Digital Sound』にも盛り込んであります。まずは、圧縮音源の高域信号を再生成して補完する“サウンドリストアラー”、そして、重低音の倍音成分を付加して、スピーカーで再生できない重低音を増強する“バーチャルバス”」

武藤「さらには、音源から抽出したサラウンド成分によって臨場感の溢れる音場を創り出す“バーチャルステージエンハンサー”、そしてもう1つ、“Intelligent Tune”の新たな機能である“トーンフィルター”も搭載しています。これはホームオーディオのパワーアンプに搭載されている“シミュレーター”のような機能で、応答性や残響音の成分を変えて音色を色づけするものです。これらも、お好みに応じて、気分に応じて、楽しみながらお使いいただきたいですね」

ハイエンド・DSPとして高性能であり、さらにはエンターテインメント的な機能も多彩に搭載している“Z3 フルデジタルサウンドプロセッサー”。独特の快適な操作性も有し、本当の意味での“ユーザーフレンドリー”な、完成度の高いプロセッサーとなっていると見て良さそうだ。プロにとっては使い応えがあり、ユーザーにとっては楽しめる、まさしく“マルチ”な一品に仕上がっている。

クラリオン『Full Digital Sound』は、コントロール性能においても、十二分に革新的なシステムなのだ。

さて、次回は当連載の最終回だ。そこでは、デモカーの詳細なインプレッション・リポートをお贈りするとともに、(株)イース・コーポレーションが主催した先の『イースセミナー&ショー2016』の会場でその音を確認した、実力プロショップのコメントもご紹介していく。乞うご期待。

ますます話題沸騰中のクラリオン『Full Digital Sound』。その利点と可能性を徹底検証! Part.3 “サウンドプロセッサーの実力”

《太田祥三》

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