東武鉄道のSL列車、車掌車やディーゼル機関車も連結…JR5社からかき集める

鉄道 企業動向
東武鉄道は2017年夏から鬼怒川線で蒸気機関車の運転を行うと発表。写真のC11 207をJR北海道から借り受けるほか、JR各社からSL列車の運転に必要な客車などを譲り受ける。
東武鉄道は2017年夏から鬼怒川線で蒸気機関車の運転を行うと発表。写真のC11 207をJR北海道から借り受けるほか、JR各社からSL列車の運転に必要な客車などを譲り受ける。 全 8 枚 拡大写真

東武鉄道は4月21日、同社が計画している日光・鬼怒川エリアでの蒸気機関車復活運転について、蒸気機関車と客車のほか車掌車とディーゼル機関車を含む6両編成のSL列車として運転すると発表した。2017年夏をめどに営業運転を開始する。

東武鉄道は蒸気機関車による鉄道として開業。電化後も貨物列車などのけん引機として蒸気機関車を使用していたが、1966年6月までに運用を終了している。同社は2015年8月、日光・鬼怒川エリアの交流人口創出や沿線活性化を目的として、蒸気機関車の復活運転を目指すと発表。これまで乗務員の養成などを進めてきた。

今回の発表によると、SL列車は2017年夏をめどに営業運転を開始。土・日曜と祝日を中心に年間最大140日程度、1日3往復程度運転する。運転区間は鬼怒川線の下今市~鬼怒川温泉間(栃木県日光市)12.4kmで、片道の所要時間は約35分。蒸気機関車1両を先頭に、車掌車1両、客車3両、ディーゼル機関車1両の6両編成で運転される予定だ。客車の座席数は約200席を予定している。

車掌車は車掌が乗務するための車両。本来は貨物列車用で、旅客列車に連結されることはない。現在の貨物列車も合理化により運転士のみ乗務していることが多く、車掌車が連結されることはほぼなくなった。

蒸気機関車は、JR北海道が保有しているC11形1両(C11 207)を借り受ける。車掌車はヨ8000形2両をJR貨物(ヨ8634)とJR西日本(ヨ8709)から譲り受ける。客車は12系・14系の6両(スハフ14 1・スハフ14 5・オハフ15 1・オハ14 1・オロ12 5・オロ12 10)をJR四国から譲り受ける。ディーゼル機関車はJR東日本からDE10形1両(DE10 1099)を譲り受ける。

SL列車で使用する車両について、東武鉄道は「鉄道産業文化遺産の復元・保存にご賛同いただいた全国の鉄道会社からのご支援・ご協力を得て、かつてSL運転に使われていた時代の車両を貸与・譲渡いただき、運行する」としている。蒸気機関車は東武博物館が借り受け、車掌車や客車も東武博物館が譲り受ける。一方、ディーゼル機関車は東武鉄道が譲り受ける。

SL列車の運転で必要な施設の整備も行う。蒸気機関車の向きを変えるために必要な転車台は、JR西日本が所有する長門市駅(山口県長門市)と三次駅(広島県三次駅)の転車台を譲り受け、それぞれ下今市駅と鬼怒川温泉駅に設置する。蒸気機関車の各種検査を行う検修庫は、南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)に新設する。

SL列車の始発駅となる下今市駅では、駅舎の改修を実施。「かつてSLが走っていた時代を彷彿とさせる昭和レトロ感のある駅舎」に変えるという。駅構内には、蒸気機関車を間近で見ることができる見学エリアも整備する。乗務員の養成は現在、JR北海道・秩父鉄道・大井川鐵道3社の協力を受けて進めているが、このほど真岡鐵道の協力も受けることになった。

今後は6月頃、JR貨物とJR西日本から車掌車を受け入れて、12月頃までに全ての車両の受け入れを終わらせる予定。2017年4月頃から鬼怒川線で試運転を開始し、夏からの営業運転開始を目指す。

《草町義和》

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