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「ニコニコ超会議号」関西発の夜行運転が復活…JR東海の線路を初走行

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3段式寝台の上段ベッドからカーテン越しに顔を出す『ニコニコ超会議号』プロデューサーの向谷さん。関西発夜行運転の復活とJR東海初走行を実現させ、終始ご機嫌だった。
3段式寝台の上段ベッドからカーテン越しに顔を出す『ニコニコ超会議号』プロデューサーの向谷さん。関西発夜行運転の復活とJR東海初走行を実現させ、終始ご機嫌だった。 全 22 枚 拡大写真
毎年4月に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されているイベント「ニコニコ超会議」の一環として、今年も団体臨時列車『ニコニコ超会議号』が4月28日から29日にかけて運転された。5回目となる今回は、関西発~関東着の夜行運転が復活。JR東海の線路を初めて走り、大阪駅(大阪市北区)から幕張メッセに近い海浜幕張駅まで運転された。

『超会議号』は鉄道マニアの音楽家として知られ、最近は発車メロディーの制作やホームドアの開発も行っている音楽館の向谷実さんがプロデュース。今回は寝台設備を設けた583系特急形電車の6両編成(N1+N2編成)を使用した。

各車の車両番号は、先頭が6号車のクハネ583-17で、5号車がモハネ583-100、4号車がモハネ582-100、3号車がモハネ583-106、2号車がモハネ582-106、1号車がクハネ583-8。列車番号は大阪~鶴見間が9132M、鶴見~海浜幕張間が9735Mだった。『超会議号』で583系が使用されたのは、今回が初めてだ。

『超会議号』は28日20時11分、大阪駅の11番線に入線。『超会議号』ツアーの参加者のほか、同駅では数年前から見ることができなくなっていた583系の姿を一目見ようと大勢の鉄道マニアが集まり、583系の姿をカメラに収めていた。

列車は20時20分に発車。21時14分発の京都駅でも参加者を乗せたが、この先の途中停車駅は全て客扱いを行わず、一路、海浜幕張駅へ。22時少し前、向谷さんや音楽ユニット「SUPER BELL''Z」のボーカル・野月貴弘さんらによる、検札を兼ねた車内巡回が行われた。

向谷さんに同行して各車を回ってみると、比較的若い参加者が多かった。滋賀県から参加した20代の男性は、夜行運転が行われた過去の『超会議号』にも乗っており、今回も夜行運転が復活するということで参加したという。国内の夜行列車が大幅に減った現状について「残念だけど仕方ない。ただ、北海道から九州まで新幹線がつながったのだから、新幹線の夜行列車が運転されないかなあという思いもあります」などと話していた。

■5号車は恒例の鉄道模型運転会

5号車では過去の『超会議号』と同様、参加者による鉄道模型の運転会が行われていた。寝台の上にNゲージの線路が敷かれ、583系をはじめとした模型車両を運転。583系の車内を583系が走るという、不思議な空間を創り出していた。

この運転会を行っているのは「5号車友の会」。代表の高史の民さんによると、2012年の『超会議号』に乗車した際、東京で鉄道模型の運転会に参加する予定があり、「それなら車内で走らせてみようか」と考えたのがきっかけだ。周囲にいた他の参加者にも好評で、他の車両から様子を見に来た人も大勢いた。

このときに乗車したのが5号車だったことから、5号車の参加者による「友の会」が発足。主立ったメンバーは翌年以降の『超会議号』にも全て参加し、毎年のように5号車で運転会を行っている。鉄道車両という狭い空間に線路を敷くのは大変そうだが、出発前に自宅などで線路を敷き、その手順をシミュレートしているという。

向谷さんの車内巡回が終わろうとした頃の22時42分、列車は米原駅に到着。ここから『超会議号』としては初めてJR東海が運営する区間に入った。東海道本線は深夜から未明にかけても貨物列車が多数運転されており、『超会議号』は静岡県内の浜松駅などで長時間停車を繰り返し、貨物列車に道を譲りながらゆっくりと進んでいった。

■電車と東海道経由で夜行運転を復活

『超会議号』は2012年、大阪駅から上野駅(東京都台東区)に向かう機関車けん引の寝台客車列車と、関東圏のJR線を巡るお座敷電車の2本立てで、初めて運転された。このうち寝台客車列車は、JR西日本とJR東日本が運営する北陸地区の在来線を経由。JR東海が運営する東海道本線米原~熱海間は通らなかった。

2013年と2014年は、大阪~上野間(北陸経由)の寝台客車列車のみ運転されたが、2015年は寝台客車の老朽化や、北陸新幹線の開業に伴う並行在来線の第三セクター化で運転が難しくなり、関東の貨物線を巡るお座敷電車が運転された。今回は583系電車を使用。東海道本線のJR東海区間を経由して、関西発~関東着の夜行運転を復活させた。

『超会議号』は夜が明けても東海道本線をひたすら東へ進んだ。東海道本線と海浜幕張駅のある京葉線は東京駅で乗り換えできるが、同駅の東海道本線ホームは地上、京葉線ホームは地下で、もちろん線路はつながっていない。このため『超会議号』は、小田原駅から貨物線に転線。小田原~鶴見間は東海道貨物線、鶴見~府中本町間は武蔵野貨物線を走り、府中本町駅からは武蔵野線と京葉線を走って海浜幕張駅に向かった。

■片側寝台・片側座席でゆったりとしたスペースに

今回の『超会議号』で使用された583系は、「昼夜兼用」を目的に開発された旧国鉄の特急形電車。1967年、関西~九州向けの581系が運転を開始し、翌1968年には東日本方面でも運用できる583系が登場した。車内には中央通路の両側に4人用ボックス席を設けているが、ボックス席は3段式寝台(一部は2段式)に変換することが可能。昼間は座席の特急列車として運転し、夜は寝台列車として運転できるようになっている。

その後、老朽化のため廃車が進み、夜行列車自体の需要も小さくなったことから、定期列車での運転は2012年に終了。現在はJR東日本秋田車両センターに所属するN1+N2編成の6両しか残っておらず、臨時列車や団体列車でしか姿を見ることができなくなっている。

583系の定員は寝台使用時で1両40人前後だが、今回の『超会議号』では、海側(進行方向右側)の区画のみ寝台に変換。3段式寝台を利用する3人の参加者が、隣接する山側(進行方向左側)のボックス席も休憩用スペースとして利用できるようにし、長旅をゆったりしたスペースで楽しめるようにしていた。向谷さんは「(『超会議号』の主な参加者である)若い人に、往時の寝台列車の雰囲気を味わってもらいたいが、(生活水準の向上など)時代の流れもある」として、このような形にしたと語った。

《草町義和》

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