【新聞ウォッチ】燃費不正問題、スズキにも飛び火、強風のテストコースで実測せず

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法令で定める手法で測定をしなかったことを謝罪するスズキ(本田副社長、鈴木治会長、鈴木俊宏社長、笠井四輪技術本部長
法令で定める手法で測定をしなかったことを謝罪するスズキ(本田副社長、鈴木治会長、鈴木俊宏社長、笠井四輪技術本部長 全 2 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2016年5月19日付

●スズキ不正 全16車種、燃費測定、実測データ使わず、他社供給含め210万台(読売・1面)

●三菱自社長、辞任発表、不正拡大(読売・1面)

●国交省審査見直し急ぐ、メーカー任せ脱却へ(読売・8面)

●オペル不正疑惑独政府が聴取へ、排ガス浄化機能巡り(朝日・8面)

●東武東上線が脱線、18万人に影響(産経・1面)

●自動車業界揺らぐ信頼三菱自にスズキも不正(産経・10面)

●首相、消費増税を再延期、与党と調整入り(東京・1面)

●五輪柄の車ナンバー、寄付募りバリアフリー化(日経・5面)

●ガソリン10週連続高値(日経・21面)

ひとくちコメント

「三菱自動車を除く主要7社はこれまでのところ不正はない」と、きのうの読売、産経などは報じていたが、それが昼過ぎには一転、スズキも国土交通省が定める法令と異なる方法で燃費データを計測していたことが判明。

同日午後4時から鈴木修会長と鈴木俊宏社長、本田治副社長らが国交省に報告後、午後4時から急きょ記者会見を開き「深くおわびしたい」と深々と頭を下げた。

測定方法を国の定めとは異なる不正なやり方を採用した車種は、軽自動車の『アルト』『ワゴンR』や小型車『スイフト』など、スズキが現在販売している全16車種と他社供給分11車種を合わせた27車種で、2010年以降に生産した約210万台。

ただ、鈴木修会長は「意図的な燃費データの改ざんなどはない」と強調。「排ガスも保安基準に適合しており、問題はない」と説明して、製造・販売も続けるという。また、風や天候に左右されないように静岡県のテストコースに暴風壁を設置することも明らかにした。

国交省の記者会見室ではスズキに引き続き午後5時半からは三菱自動車も新たに5車種でデータ不正があったことなどを国交省に報告後、益子修会長、相川哲郎社長、中尾龍吾副社長が会見した。報告内容とともに、相川社長と中尾副社長が6月24日の定時株主総会後に辞任、益子会長は新体制に引き継ぐまで役員報酬を全額返納して続投するなどの首脳人事も発表した。

きょうの各紙も両社の記事を大きく報じているが、読売と産経が「スズキも燃費不正」を1面トップ。朝日は「三菱自社長、引責辞任へ、燃費偽装新たに5車種」を1面トップ、社会面では「三菱自、低モラル露呈」と伝えた。各紙とも経済面や社会面に「自動車業界揺らぐ信頼」(産経)などと取り上げている。

三菱自に続きスズキと、燃費データの不正が相次いでいるが、自動車ユーザーが知りたいのは、トヨタ自動車やホンダなどの他メーカーの測定結果である。

国交省は各社に5月18日までに”自主申告”を求めていたが、その結果、スズキを除くトヨタやホンダ、日産など40の自動車メーカーからは、三菱自動車と同様の不正行為はないとの調査結果の報告を受けたという。

きょうの読売や日経などが「燃費不正の報告、2社以外になし」(日経)などと、紙面の片隅に小さく取り上げているのが興味深い。

長い間、不正を見抜けなかった国交省の後ろめたさなのか、あるいは、確定申告のように、今後、“虚偽申告”したメーカーが改めて”修正申告”するケースがあるのか、燃費偽装の問題はしばらく尾を引きそうだ。

《福田俊之》

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