日産自動車は6月22日、パシフィコ横浜国立大ホールで第117回定時株主総会を開催した。出席株主は2098人で、質問者は抽選で選ばれた7人、総会時間は1時間51分とほぼ時間通りに終了した。
議長役のカルロス・ゴーン社長は総会の冒頭の挨拶で、終了時間を11時50分と告げ、質問時間は3分と要求。ある株主が長々と質問をはじめると、途中で口を挟み、「3分を過ぎました。質問は簡潔に」と厳しい口調でたしなめる場面もあった。
また、質疑応答の前にゴーン社長は10億7100万円の高額報酬について説明。グローバル企業27社と比較して、平均値を下回っていると決して高くないと強調した。そして「日産自動車の強みは強力な指導層にある。われわれの優秀な人材は常に世界の企業から注目されていて、実際に日産の幹部を他社が採用している。そのため、競争力のある報酬を用意する必要がある」と付け加えた。そんなこともあり、報酬に関する質問は出なかった。
はやり今回多かった質問は三菱自動車との提携についてだ。これについては「大きなシナジー効果の創出を約束する」と述べ、「電気自動車の開発や排ガス規制への対応は多額の投資が必要で、両社にメリットがある。戦略的な提携関係が必要だった」と強調。そして、こう力説した。
「すべての危機はチャンスである。危機から逃げたいと考えるなら、経営には関わるべきではない。危機は会社を改善するチャンスで、そこから脱すれば会社が成長できる。常にチャレンジし、結果を勝ち取らなければならない」
この言葉に満足した様子の株主も多いようで、総会終了後の懇親会ではゴーン社長も周りには例年以上に株主が集まり、三重四重の輪ができていた。